2022年11月30日水曜日

ノイズ・電源インピーダンスを測るためのDCブロック・ハイパスフィルタの特性測定

こっち(広島)に来て測定器のノイズがなんか酷いのだが、ひょっとしてAC電源(=コンセント)が屑なんじゃねぇの?

おはようございました。

見習い変ジニア@電源に疑問を持ち始めた 漢です。


測定器のノイズについて、自宅(米子)では何の問題もなかったのですが、広島に左遷されてからというもの、ずっとなんだかよく分らない周期的なノイズ(30kHzぐらい?)にかなり悩まされております。

特にレトロな装置を愛する(というよりは中古装置しか買えないことが多い)我が家のお財布事情と、測定器類を絶対に買わせない!という何らかの確固たる意志を持った職場の圧力にあっては、中古機器を整備してそれなりの測定品質とよろしくない不確かさの前提で色々作り込むしかない訳です。

おまけに会社自体に測定器を持ち込むには重量がものすごく、とんでもなく面倒くさいので、実質自宅に引きこもりながら色々測定するという有様。

時々タイムカード押しに会社に来るとかふざけた出勤状態なこともある訳です。

そんな、測定器を愛してやまない?生活にあっては、私の愛器が米子から広島に移った際に何やら調子が悪い症状が続いており、測定器に触るとなんかビリビリする…ということも屡々…。


古い測定器は

トランスで変圧→電解コンデンサで平滑→リニアレギュレータで商用周波数帯のPSRR確保で綺麗で理想的電源ですね?ニッコリ!

という単純な方式であります。

なので、AC電源自体が高周波まみれのクソ汚い電源である可能性についてはあまり考慮されていません

リニアレギュレータのPSRR特性を測ってみればわかりますが、少しでも周波数が高い領域は完全に門外漢なのです。かといって、発熱万歳なリニアレギュレータ業界において、高速なリニアレギュレータの開発は絶望的です。

とりあえずレトロな装置類には高周波系のノイズを消せるようにパスコン打ち増し・良い電解コンデンサに打ち換えで何とか耐えていますが、狭い装置に於いては逃げようもありません。


こりゃあ何とかせんといかんなぁ~と思い、カードの締め日のおかげで良さげな代物をボーナス一括払いができたことから、ついつい測定の下準備から始めようと思った次第。


電源品質の可視化について、単純なやり方としては、50Hz、60Hzといった商用周波数帯をフィルタリングして、他の周波数帯の成分を解析するとか、素直に電源品質アナライザ使うとかを思いつきます。

今回の対象は単純に電力系統にぶら下がる受動部品側の問題ではなさそうです。そのため、インバータから放射される基本周波数が比較的高めのノイズに絞ることにしました。


また、今回のボーナスでは、会社で使う開発用PCを自腹で買うことになったので、電源品質アナライザは残りのポケットマネーではとても手が届きません

諦めて、良さげなハイパスフィルタで検討してみることにします。


え?何で会社用のPC買うのかって?

会社では組み込みソフトも扱うんですが、会社の事務用PCにはそのソフト入れてはならないって決まりがあります。

それでも出張が無い間はこっそり入れて何とかやってたんですが、出先でビルドしなおせ!とか訳の分からんことを言い始める上司のせいで、自腹で買う羽目になったのです。

勿論1年半前からソフトウェア開発用のPCが絶対いるから買って!って言い続けているのです。

しかし、その上司は自分に都合の悪いことは全て忘れるわ、自分の保身のために

『予算使いたくないから…』

個人の測定器を徴用する絵に描いたような素晴らしいクソ上司共だったりします。

1年半言い続けたうえに何もせず(寧ろ言う度にキレてくる)、この前ついに会社のセキュリティー担当に見つかって怒鳴られて

『(セキュリティー部門に対して改善策として)買う!』

と話がまとまったものの、

『買う!(但し、すぐに買うとは言っていない。永遠に先延ばししても問題ない)』

だったようで、結果的にどうしようもなくなったので、私は個人でしぶしぶ買うという選択肢を迫られたわけです。

また、別件で会社で4Kの動画編集をさせられそうになったこともあるのですが、会社の事務PCではスペック的にきつかったようで、H.264のエンコード時にメモリ不足で落ちるという症状に見舞われて、『PCが残念スペック過ぎてできません!』と言ったら『家でやって持ってこい!』としつこいぐらいに圧迫を受けました…。

『分かるかなぁ~?これがコンプライアンスとか騒いでいる企業において、取締役が堂々とコンプライアンス違反を強要する日本のごく一般企業の実態なんだぜぇ~』


…まぁ、そんな訳で、移動開発用PCとして15万ぐらい飛びました(泣


ということで、残り少ないポケットマネーでできることと言えば精々フィルタを買うことぐらいな訳です…。

(くそぅ、移動開発用PCが無けりゃあ電源品質アナライザに手を出せたものを…いや、それも会社で買えよ!って突っ込みが入りそうですが…)

元々家で開発PCとして2年前に買ったPCを使い回してたので、“移動”の必要性さえなければそれで済んでいたのですが…


そんな訳で、前置きが長くなりましたが私が目先でできることはフィルタの特性測って、問題ないレベルの差動プローブで測って、

『AC電源(=コンセント)がクソだったね、残念!』

と、転職覚悟で米子に戻るか次のボーナスでノイズカットトランスを買うか、どちらかの理由の証明することぐらいしかない訳です。



さて、今手持ちの課題としている電源品質のクソ加減を知る手立てのほかに、SMAのDCカットの低周波域の測りたいという内情があります。

これの理由としては、シャントスルー法による電源インピーダンス測定のための下準備です。

『電源インピーダンスを測定する際に、電子負荷で低域を測定したのち、高域をシャントスルー法にて測定するのだが、どの辺でデータを合わせるか?』という指標が必要になります。

そのため、電源印加時にネットワークアナライザが壊れないように、DCカットフィルタの使用が必要となりますが、そいつがどんな素性か?を知らない状態で使うのは大変危険です。

とは言え私は貧乏変ジニア…nanoVNAやLiteVNAみたいなお手頃装置をこよなく愛している高級機など触ったこともない貧乏変ジニアなのです。

高域で信頼できるような測定器はないので、低域の素性だけでも測っておこうと思った次第。


さて、今回は入手性の高い物でテストすることにしました。

DigiKeyにて販売していたCRYSTEK CBLK-300-3

AMAZONに転がっていたレーザーマーキング済みのDCカット


そして今回追加で投資購入した

THORLABS で販売している 5kHzのハイパスフィルタ EF115


です。

5kHzを選んだ理由ですが、

  • 5kHzなら最近のインバータならばだいたい基本周波数を超えているので、そこそこ測れそう
  • 代表特性のサイドローブの特性が一番奇麗だった

…えぇ、理由なんてそんなもんです。


さてお待ちかね、フィルタの特性です。

入出力はだいたい50Ωで終端してあります。また、EF115の測定に当たっては、低域の減衰傾向を正しく測定するために、kHz以下の低域の減衰はHP3563Aにて測定を行いました。

流石は専用機!ダイナミックレンジがデカくてものすごい優秀ですよね!!

持っててよかった専用機!予備機(HP3562A)があるので壊れても安心です。

そんな訳で、MHz帯も綺麗に広いダイナミックレンジで測れる装置が欲しい今日この頃であります。

CRYSTEK CBLK-300-3の低域の暴れている件は、面倒くさい(私は使わない前提)という理由でHP3563Aでは測っていないため、S/Nが悪くてギザギザになっていますが、凡その傾向は取れているのでOKとしました。(こいつの使用目的は商用周波数のカット目的ではないですし…)

御覧の通り、本来高速な電子負荷でそこそこ確実な測定環境が準備できる場合は CRYSTEK CBLK-300-3 一択だと思います。

出どころの分からない中国製の物はかなりコンデンサが大きいので、DCバイアスやACの波形が結構動くときに歪むんじゃねぇか?(どうせ安物のコンデンサでしょ?)と少々心配になります。ただ、私みたいな貧弱な測定環境の数kHz以降は全てシャントスルー法に任せる前提なら非常に有用です。


電源ノイズのの調査については、当初の目論見通り THORLABS の EF115 を使えば、インバーター関連のノイズだけをうまく抽出できそうな感じです。

2kHzを少し超えても-57dBは稼げています。スペック通り5kHzから上は-3dB以内で軽く揺れる程度ですし、20~30MHzまでは取れるということなので、凡その傾向を取る手段としては許容範囲でしょう。

肝心の商用周波数の減衰はおおよそ90dB弱ですので、141Vのピーク電圧が5mVまで減衰できることを示唆しています。

その後もそこそこ減衰できていますから、インバータ依存の高周波を絞って撮れそうです。自宅(米子)に転がっているインバータで試して行けそうなら、広島の宿舎や外でも試験してみたい…と思います。


ではでは、今日はココまで。
またの機会に会える事を楽しみにしています。

2022年10月31日月曜日

実際のところ日本は、生半可な努力では修復不可能なほどに技術力は低下しているのではなかろうか?という話

某企業の開発系お偉いさん『技術のない奴は開発したらあかんのか?』

おはようございました。

見習い変ジニア@(゚Д゚)ハァ?…何言ってんだお前…中々のパワーワードを食らった漢 です。

毎年同じミスして成果を出せてなもんだから、私が最低限度比較検討できる資料用意したので、最低限それを読んでから議論しましょうね?って言ったらこれですよ…。


開発の担当者、しかもマネージャークラスが技術力なんてなくてもいいと断言する様は、ものすごいカルチャーショックです。素人のガラガラポンが許される時代なんて1990年より少し前あたりでとっくに終わった話と思っていたのですが、この組織ではそうではなかった模様。


実はこのお方、部下に作れと命令した資料に関しては、できあがったよ?と渡しても一切見ません。

製品の開発中に起きている障害の原因と対策についての資料を提出しても一切目を通しません。

おまけに自分の言ったことですら数日後にはすべて忘れます。

やるから手を出すな!と言ってくる発注処理は6カ月以上延ばします。

そのくせ業者と身内には一生懸命マウントとってきやがるのです。

所謂プロジェクトクラッシャーなのですが、頑張っている振りは欠かせませんし、昔ながらの方々との飲み会は大好きです。

さらに口先では解った振りしてそれっぽい事並べて煙に巻いてくるもんですから、技術開発の『ぎ』もわからんような経営層な方々には大層可愛がられていまして、かなり面倒くさい状況にあります。(というか、この企業の役員クラスの方々が、これの上位互換なところを見ると、上司の真似をしてのし上がろうとしている劣化コピーなだけの気もしますが…)

この世代特有の文句ばっかり言ってる声だけデカい奴は重宝される症状かもしれませんが、当事者になることだけは避けたいですよね…。


自社技術!とか言いたいなら技術の分かる役員が居ないと駄目だっていう典型例ですよね。

せめて技術士が普通に取れるレベルになってから技術的な判断しろよ…と思うわけです。今まで見てきた潰れた企業や某自動車企業、某家電企業様方と同じ構図です。

さて、そんな日本の衰退した理由がよく見えたってことで今日の話題です。


最近色々と慌ただしいことが多く、
爺になったら時間が余ってくるもんだと思っていたのですが、ガキの時よりも全く自由な時間が取れないという、何とも情けない状況に陥りつつあります。

さて、そんな今日は失われた30年での技術衰退が実はとんでもない事になってんじゃないか?って話です。

ご存じの通り、バブル期の後半から拝金主義醸成。そして小泉&竹中による自己責任論醸成、そしてとどめの新自由主義(銭ゲバ崇拝)推進&TPPによる全ての関税自主権放棄によって、日本は海外の汚い銭ゲバどもの草刈り場になりまして、国民が普通に住む水準でいられるためにはもうそろそろ食うところが無いんじゃないか?っていうぐらい一気に衰退しております。

まぁ、そっち系の輩はそれでも金を絞りたい連中ですから、食・水といった生活基盤にガッツリ牙を立てながら我々を食い尽くそうと躍起になっています。
某国様はドイツを玩具にする気でイエローモンキーは軽くる叩く程度だと思っていたのに、イエローモンキーに噛みつかれたのがよっぽど嫌だったんだろうなぁ~なんて思うところです。
尤も、今は完全に下僕の奴隷化しておりますが

さて、こんな自己責任論を掲げた世の中において、我々エンジニアの世界においても非常に厄介な風習が根付いてしまった事に気づかれているでしょうか?
そう、『OJTという言い訳を模した放置プレイ』です。
成果主義と言えば聞こえはいいのですがその実ひどいものでして、ちょっとでも自分で勉強しない奴は速攻で切り捨てるという恐ろしい言い訳です。

ここ数年技術的な相談をされる方の大半は『自社で教えてもらえる環境にない』という、ずいぶんとふざけた状況にあるようで、それ、『社員の育成放棄だよね?』『教育コスト分の給料を上乗せしろよ』と突っ込まずにはいられません。
かくいう私も成人して就いた職からは基本的に毎月の手取りの給与のうちの数万円は機材や書籍に行かざるを得ない環境にありますし、今の職に当たっては開発環境だけでなく、測定器すら私の持ち物を使わされるという中々酷い有様であります。
えぇ、『必要なものあったら買うかもしれなから申請して』などと甘い事言われ、『必要な測定器類をすべて挙げていっているにも関わらず、いまだ1台も買ってもらった試しがない』という有様です。1年半前からこの問題を指摘していますが、一向に改善されません。
電気屋さんではない方のための例えばの話ですが、
測量屋さん的に言えば、『TS(トータルステーション)は会社で用意していないけど、測量はしなさい』っていう状況です。
機械屋さんで言えば『工具一切補填しないけど、この切削加工をしなさい』って感じです。
ソフト屋さんなら『開発PC?、ネットでつながっていないXPの古い奴使え』(いや、それ今どきのソフト動かないし、個人向けのライセンスフリーの物を違法で事業用に使う前提?オンラインじゃないとうごかないんですが?無理やり動かすためにUNIXOS入れたらお前キレるでしょ?)…これは現実に今起きてることですがという勢い。

ね?なかなか酷いでしょ?
これで開発部とか名乗ってんだぜ?
早く現場に戻りたい(現場のほうがある程度自由に資材が調達できたので…)…できれば米子近辺

自虐ネタはさておき、本日の本題の本筋へ
さて、先ほど挙げた会社が投資しない問題にあっては、大小あれどどこの会社も似たような風潮にあります。理由はいたって簡単でして、一般企業の投資のうちで金をかける順はコストの低い順なので、
人材投資 >> 設備投資 >> 技術開発投資
そして資金回収の早い順は基本的に、
人材投資 >>設備投資 >>技術開発投資
という感じで、設備や技術開発は人よりは優先度が低くなります。おまけに人に属する技術も投資コストがかかるので、頭数で何とかするという舵の取り方にならざるを得ないのです。

そんな訳で拝金主義は人身売買となるのは自然の摂理になります。
ちなみに当たった時の資金回収の割合で言うと、
技術開発投資 >>> 設備投資 >>> 人材投資
なのは言うまでもありません。ポッキーや青色LEDヨロシク一発当てたらかなりの長期にわたって市場を独占に近い形で牛耳れます。
しかも技術開発投資や、設備投資というものは最低限度しなければならない限度額があり、それを下回ると会社はそもそも存続できなくなります。

さて、
人材投資 << 設備投資<< 技術開発投資
という順位で必要な資金と時間が要求されますが、下手に銭ゲバの短期的思考な輩が上を占める組織になると、必ずと言っていいほど短期利益主義に走ります。
そう、普通は最低2年、場合によっては1年の間で損さえしなけりゃいい!という経営者としては腐った考え方に走ります。
日産のゴーンがgoneした件でも私は昔から述べてましたが、アレはコストカットするだけして私腹を肥やして投資を全部切り捨て、小さな親会社(ルノー)が大企業(日産と三菱)を買い取る典型的な企業買収手法でありまして、招いてはいけない屑野郎な訳です。

実際フランスのスパイだってことが今頃になって分かったし、フランスの資本が入っている関西国際空港から逃げたし、実質フランスの植民地のレバノンへ逃げたという経緯もあり、国家ぐるみだったことが露骨に明確化したでしょ?

それでも見る目のないうっかり経営者や日経系の中共様信奉誌に毒された残念経営者様はゴーンの汚い銭ゲバによる見た目の金銭創出という魔法の様なやり方に心を奪われてしまった訳で、『どうせ数年で昇進するんだから、それまで耐えれればそれでよい』と、どこかで見た『今だけ、金だけ、自分だけ』(by 鈴木宣弘 氏)の生き字引的な行動に手を染めたわけです。

酷いとホリエモンすら神格化し始めます。彼の起業当初はともかく、アレ、道徳的に見たら合法な詐欺でしかないですからね?


それでも最初はまだよかったんです。単純に高い測定器のグレード下げるとか、先行の研究開発凍結とか(これはこれで相当拙いけども…)程度だったんです。
でもそこからためておくべき設備更新費用を切り崩して設備更新を遅らせる行為が始まりました。
そして次は人材の教育関連費用を一切合切削除。おまけに消費税の節税対策で派遣化するとか今ならアウトな手法にも手を染める始末
そして実力主義という名を借りた賃金の上昇抑制も相まって、実力が無いならば相手を叩きのめせば相対的に給与が伸びるという訳の分からない風潮が会社に蔓延しはじめました。
おかげで本来 OJT(On the Job Training) は、Off Job Training(=机上や練習場での学習)の実践訓練という位置付けであるので、先輩や指導者が一緒に作業することが前提であるにもかかわらず、堂々と放置して OJT をしているとか言い出す構図になり始めました。
これ、現在の我々技術者業界において非常に拙い事でして、できる人とできない人の格差が広がるしかないという現実を生み出します。
黙っていたら誰も助けませんし、誰も直そうともしません、あまつさえ仕事ができない人は自分の立ち位置と給与を守る(=保身)のため、伸びそうな人を懸命に潰しにかかります。
と、ここまでが新自由主義と銭ゲバ、『今だけ、金だけ、自分だけ』が一体何を生み出したかが理解できる流れです。

さて、厄介なことにこの流れが既に30年間発生しています。
つまり、会社の中で正しい投資を知らない連中が新卒入社で既に中堅か役員クラスなのです。ということは、投資の仕方を知らない人しか残っていない可能性が高い。また、少し前はバブルで浮かれていて何も考えずに土地や不動産、ゴルフ会員権まで手を出していたわけですから、投資を知っていてもそれが正しい投資のありかたかどうかなんてわからない連中が会社を動かしているという事実が見えてきます。
私みたいに個人で自分に教育や機材にガンガン突っ込んで、測定器買ったのでボーナスが出る前に赤字確定!なんていう投資経験豊富な人は極稀な変人ですし、隣人を叩かないで上に上がれる組織なんて極稀になっていますから、人としての道徳性というべきか?それとも民度というべきか?も期待できません。

おまけに投資していない裏返しで何も残っていないという現実が目の前に立ちふさがっています。
つまり、今残っている会社であっても、そのほとんどにあっては投資を真面目にできていないし、中では孤立化と叩き合いで凌ぎを削っているわけですから、結果衰退する以外の選択肢を採ることは非常に困難と言う窮地に立っていることが容易に想像できます。

これ、非常に拙くないですか?

私も今の職場が余りにも酷くて考えようかとも思っている矢先なのですが、地雷だらけで選び方すら分からん有様です。
昔は別に住むところはどこでもいいし、とりあえず転職ガチャ回しとこう!
的なノリでガンガン行けたのですが、なまじ今住んでる米子が近隣の関係や地理的に頗る快適なこともあり、選べる選択肢が一気に狭まってきています。

そんな訳で、誰か山陰地方でまじめに仕事したい会社様は私を雇ってください
離れもあるのでそこを仮事務所にして山陰進出!でもいいですよ?


ではでは、今日はココまで。
またの機会に会える事を楽しみにしています。


2022年10月13日木曜日

FETプローブをさらに追加で手に入れられた記念に、EBAZ4205の比較的低域電源インピーダンスを測定してみた

 おはようございました。


少し前にEBAZ4205の電源が糞だという噂がある』という話で、実際のリップルノイズを見た件を投稿しておりました。
皆様覚えていらっしゃるでしょうか?本日はその続きです。

うっかり2台目のFETプローブ『Tektronix P6243』を手に入れましたので、家に転がっているDL1740で再測定してみました。
CH1:3.3V
CH2:1.5V(VCC-DDR)
1.8V系のノイズ?を受けて振動している状態をズームしました。

CH1:1.8V(VCCA)
CH2:1.0V(VCCP)
1.8V系のノイズ?の発生状態をズームしました。
拡大すると…
パッシブプローブなら完全にノイズに埋もれて見えなかったノイズもこんなにくっきり…
ノイズ調査に良いプローブが欠かせないことは良く分かりましたね?
私は貧乏人であり、現職は電子回路系の技術者は冷遇されますし、技術士ですら公然とお払い箱の扱いを受けるので、良いプローブを(どころかちょっとした消耗品すらも)買えませんが、電源触るならプローブに金をかけろ!と強く言っておきます。
ついでにこんな私を拾ってくれる会社があればよろしくお願いいたします…(結構切実)

だがしかし!今回はこれだけでは終わらないッ!

久しぶりに玩具を出したついでに、さらに面倒臭そうな心配事も一緒に…と電源インピーダンスも測ってしまいます。
以前昨今の電源電圧低電圧化と大容量化に伴い、電源側の設計がかなり面倒くさい事になっているという話もさせていただきました。
さてそんな中、たとえ糞であっても動いている実物が現存するという事実は、実際の設計における指針の一つになります。
ということで、先ずは非破壊でできる低域の電源インピーダンスを測定したので、XilinxFPGAZynq-7000シリーズのz-7010の設計の際には
『低域のインピーダンスはこれぐらいは守ってないと製品として糞認定される』
指針にして頂ければと思います。
そもそも高域について、アートワーク上でのデバイスを含めたインピーダンスは、結構な企業様方がそれなりのノウハウを蓄積されておられますし、解析突っ込んでそれなりにできる環境も構築されているので、実際のところは低域のほうが面倒くさいだろうと思って公開した次第。
例えば入手の問題とか、会社の制限とか糞上司の命令とか、営業絡みの問題とかで…

さて、このEBAZ4205の電源は、3.3V1.8V(VCCA)1.5V(VCC-DDR)1.0V(VCCP)4系統があります。
巷に転がっている
回路図上のVCCPのは1V9となっている電源ですが、1.9Vではなく1.0V弱です。(ややこしい…)
ご存じの通り、一番条件的にきついのはコア電源の1.0Vで、リップルとノイズの限界値もさることながら、コアの消費電力変化による電源電圧変動を含めた形で電圧変動を規定値内に収めねばなりません
ここら辺の回路周りの数値は出回っている回路図に間違いが存在するかもしれません。
動いている現物のほうが正しい!という、昔にあったような心意気で現物以外信用しないようにしましょう。
1.8V
突っ込んだら間違いなくFPGAが死にます。(何で前回気づかったのか最近この手の業界から離れているとはいえ大失態です)

さて、ここから提示するネタについてですが、いくらか注意事項があります。
  • 金の頂いていない私的な落書きなので、すべて私の妄想の世界の中での出来事であること
  • 我が家の測定機環境はそこまで優れている訳ではなく、校正なんてしていない品物であること
(アホみたいに高い電子負荷やFETプローブなんて個人じゃ普通は持たない物を使ってますが、所詮はその程度です)
  • 傾向さえ見えれば満足で、不確かさの検証なんて面倒くさいのでやる訳もない事
  • 60Hzの高調波(3倍、5倍、7)のノイズの問題は私の家の電源環境が糞なだけであって、本来はない物として思え
ということで、私の妄想の結果だということに納得できるお方は次の結果を見てみましょう。
大事なことなので、2回言っておきました!




見ての通り、コア電源だけはコンデンサガンガンに積んで実装されているICから十分制御可能な制御帯域内から位相がぐるっとコンデンサ側に振っているいることがよく分る構図となっております。
また、グラフの位相の暴れは信頼の薄さにも相当します。
FETプローブ使ったりそれなりの構成で気を使ていることもあってオーダーはそれなりの精度で採れてはいるのですが、周囲のノイズもそこそこ酷く、あまり綺麗に採れるわけでもありません。
非破壊でやれる範囲ということで小信号での測定でリード引き出しということもあり、100[kHz]以上はだんだんと測定精度が怪しくなってきています。
とはいえ、傾向はつかめる程度には取れていると思います。

しかしまぁ、コア以外はかなり適当でこれで本当にいいの?と思わざるを得ない結果です。
コア以外も頑張って100[kHz]ぐらいまで0.01[Ω]切りを目指せよと思うわけですが、そうもいかなかった模様。
ちなみに、私が過去に設計していたちょっと気合の入れた電源では+12[V]で、100[kHz]で0.01[Ω]、MHzに入るまで普通に0.1[Ω]切ってました。(100400[W]での使用電源だけど…)

ですがそもそもこの帯域(数百kHz)になり始めるとデバイス端での測定を行わねば正確に判定できません
素直にシャントスルー法を使って測定しましょうと言いたいのですが、誰かやってくれんだろうか?
え?お前がやれって?誰か投げ銭してくれたら考えます(と言ってみるテスト)

ではでは、今日はココまで。
またの機会に会える事を楽しみにしています。

2022年9月30日金曜日

AMAZONで売っている格安ノイズソースの挙動について曝す

 おはようございました。


ついこの前まで小電力無線がらみ、伝搬特性がらみの仕事をしておりました。
この手の仕事をするときに必要なものは様々ありますが、その中でも皆様にとって有用であろうというネタの一つ、ノイズソースの特性について曝してゆこうかと思います。

ノイズソースは広域な周波数において、そこそこ平坦な出力のノイズを出したい道具でありまして、雑音指数の計測、アンプの各種特性の採取、フィルタの大まかな特性や、伝搬の特性、ホワイトノイズ耐性の測定なんかにも使えます。

さて、今回使用したのはAMAZONで転がっていたこの2種類。



緑色の奴と黒色の奴です。
とりあえず動作の挙動が分からないと使いようがないので、さくっと調べることにします。
受信側のスペアナはたまたま近くに転がっていた借り物の、テクトロニクス社製のRSA306
玩具のスペアナと違って、これならそれなりに信用できそうな傾向が得られると思います。

さて、とりあえず1台目の緑の奴から


とてもフラットとは言えないノイズです。低い周波数領域に幾らかのピークがあり、なおかつ周波数が上がるとだんだん落ちる前提での使用をお勧めします。


次に2台目の黒い奴





2GHzちょっとの所と、2.47GHz付近になんかピークや突起が出ています。
ですがそれ以外はかなりフラットに近いので、このピークや突起がある前提で、2GHzまでで遊びに使うには十分かもしれません。フィルタを合わせて使いましょう。

どちらも元々2GHzまでで使うような代物だということがよく分ると思います。

こういった測定器の補助道具は、必ずまともな計測器でどのような挙動を示すか確認してから調査に用いましょう。

ではでは、今日はココまで。
またの機会に会える事を楽しみにしています。

2022年8月18日木曜日

告知:『中小企業ひろしま 8月号』に寄稿しました

おはようございました。


一方的な告知です。
広島県中小企業団体中央会
http://www.chuokai-hiroshima.or.jp/index.php
の発行する会誌である『中小企業ひろしま8月号』に寄稿しましたのでご報告いたします。

お題目は『機器開発の潮流変化と導入の課題』です。

来るデジタル化の波と乗り遅れの失敗例について、2020年度版ものづくり白書も絡めてお話ししています。
https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2020/index.html

https://www.youtube.com/watch?v=crkerQ_iJCY


2022
年度は技術士の方々が毎月寄稿するというイベントがありますので、なかなか濃い内容が見れるかもしれません。

ではでは、今日はココまで。
またの機会に会える事を楽しみにしています。

2022年6月23日木曜日

うっかりDigital Discoveryに手を出してしまう

おはようございました。

皆様におかれましても、そろそろボーナス払いが解禁される頃合いですね。


相変わらず私は、税金と電気周りだけ魔改造中の家のローン、重なってくる2台分の車検代に殆ど消えるのですが、それでも悪あがきをしようと一歩ずつ前に歩んでいます。


そう!ついに手を出してしまった『Digital Discovery』!!

少し前のネタで『¥1500ほどで出回っている2D LiDAR(360度の距離の測れるセンサー) MB-1R2T』の話を振ったのですが、プロトコルをいろいろと調べている間に手持ちの測定器では限界が見えてしまったのです。


1回の送信で40点分の位置を送る様な通信データなのですが、我が家のDL1740はUARTの解析機能はないし、Analog Discoveryでは記録メモリの少なさから欲しいデータが少し見えたところで途中で切れてしまいます。

最近LiDARを仕事で触ることも多く、結構長いパケットを調べることが多いのです。

『仕事でも使えるし、まぁいいっか…』

と、

『いや、会社で買えよ!』

なんて突っ込まれそうな気もしますが、

『会社で買うならもうちょっとマシな物を買いたいのだけど、それだと一部の上がハンコ押しそうにない』

ということで悩んでおります。

かと言って、

『買ったら同じ機能に見えるものは絶対買い替えさせてくれない』

という動きの方が圧倒的に強い気がするので、なかなか動けないでいるのです。


会社の測定器や工具は私物より残念な代物ばかりなので、

欲しいものばかりで大変困っている(というか必要なので、家が実質第2の開発室化してる)状況。

誰か社内で投げ銭してくれませんかねぇ~

なんて思ってしまう今日この頃です。


前回のブログではデーターのヘッダを追記してあるのですが、Digital Discoveryみたいにメモリがそこそこ多いものを使うと、細かい挙動が見えてきました。


さて、例の『MB-1R2T』ですが、最初のテキストデータ送信後はこんな感じでデータが出ることが分かってきました。


1バイト目: AA ヘッダ1

2バイト目: 55 ヘッダ2

3バイト目: 3C コマンド種類?時々変わる

4バイト目: 28 データの個数 時々変わる

5バイト目: xx 開始角度下位

6バイト目: xx 開始角度上位

7バイト目: xx 終了角度下位

8バイト目: xx 終了角度上位

9バイト目: xx 不明(エラー訂正用?)

10バイト目: xx 不明(エラー訂正用?)

11バイト目: xx 信号品質

12バイト目: xx 距離下位

13バイト目: xx 距離上位

14バイト目: xx 信号品質

15バイト目: xx 距離下位

16バイト目: xx 距離上位

…以降データの個数分『信号品質、距離下位、距離上位』が続く…

角度のデータは0xB400が360度である可能性が高いです。(というかほぼ確定だと思う)

流れてくるデータとしてはこんな感じです。


こんな感じでたまに小さいパケットも飛んできます。




1個しかないデータはコマンド?(3C)としている部分まで変わります。

流れてくるデータ的には距離っぽいのですが…


秋月電子での値上げとカードの支払日の関係から、昨日Digital Discoveryが届いたばかりですので、データの個数が変わる条件がまだ絞り込めてませんが、普段は40個(0x28)連続していますが、たまに個数が不確定に減ります。

各々の角度と長さを求めるには開始位置と終了位置の差分を(データ個数-1)で除算せねばならないので、マイコンの方が圧倒的に楽です。

私は個人的都合でFPGA使ってますので、この除算まで含めて実装すべきか?

動作確認程度の実装だし、少しのデータなので、無視して飛ばすか?

少々悩んでおります。

まぁ、どっちにしてもこんなしょうもない機能にCPUリソース食いたくないので、本気でやるならFPGAで除算実装して、XY座標化や補間も実装しますが…


そんな訳で、今更この手のLiDARに手を出された方には参考になればと思います。


ではでは、今日はココまで。
またの機会に会える事を楽しみにしています。

2022年3月13日日曜日

GPIB予備環境構築のため、GP232の予備としてKeysight 82357Bを調達する。そしてHP3562Aの自動計測へ…

 おはようございました。タイトルがなろう系並みに長い漢です。

ここ最近、現場で古い測定器類が不調になり始めることが多くなってまいりました。

我が家の測定器もその心配を寝ねばならない頃合いに差し掛かり、予備がいるよね…。

そんな訳で、一番優先度の高い『GPIB⇔PC』の自動計測周りのインターフェイスもそろそろ考えねばなりません。


現在まで現役だったGP232はずいぶん昔に購入させていただいたもので、このメインのPIC16F876も終息品となり、何かしらの予備が必要です。

しかも近年のEXCELでは標準モジュールはそのまま動かないので、少し改変する必要があります。

まぁ、ソフトは一回書き換えたら使い回しできるので何も問題ないのですが、ハード側の故障はPIC自体が手に入りにくいので致命傷になります。


作者の方は何やら大変な苦労をされていたようで、ありがとうございました以外の感謝の念が絶えません。

ここ数年のコンテンツ消費型のクレクレ君の異様なキチガイっぷりは涙をそそるものがありますよね…。(シミジミ)


さて、そのままPICの変更した奴でUSBってのも(皆がやってるので)あんまり芸がないし、やるなら高速化したい…と、ググってみるとKeysightの82357Bというアダプタの勝手が良いよ?メーカー純正の癖にあの会社にしては意味不明な位安いし…というような感じでしたので、今後会社絡みの仕事を家ですることが増える現実を踏まえてこちらへ移行準備することにしました。


Keysightの82357Bで使用する『Keysight IOライブラリ・スイート』にはVBA周りの環境が整っており、色んなことができるよ?とKeysight自身が色々宣伝されておられ、かなり資料がふんだんにあります。

(ただし、webの資料が結構早めに消えるのは外資故の制限なのかもしれません…)

良い子の皆は『これは使えるッ!』と思った資料は、しっかりローカル保存しときましょうね?


とりあえずメインで使うHP3562A・HP3563Aでのでの取り出し方はこんな感じに落ち着きました。


Sub btnStart_Click()

    

    Dim Rdata       As String               ' 受信データ文字列

    Dim SplitData                           ' 受信されたデータを分割して格納

    Dim PrintData                           ' 配列から個別に取り出したデータ

    Dim Counter         As Long             ' データカウンタ

    Counter = 0

    

    ' 2重起動の防止

    If RunFlag Then Exit Sub

    RunFlag = True                          ' 動作中フラグをセット

    

    ' GPIB 初期設定

    Dim RM As New VisaComLib.ResourceManager        ' リソースマネージャーの定義

    Dim HP356xA As New VisaComLib.FormattedIO488    ' 測定器の定義

    Set HP356xA.IO = RM.Open("GPIB0::1::INSTR")     ' GPIBアドレス 1 の装置設定

            

    ' コマンド送信

    HP356xA.WriteString "DDAS"               'アスキー形式で読み出し

    

    'データ数はヘッダー66+数値801(Re)+数値801(Im)

    'ストリングでごっついので、分割する

    Rdata = HP356xA.ReadString

    SplitData = Split(Rdata, vbCrLf)

    

       ' データの書き込み分割したデータを分けて表示

    For Each PrintData In SplitData

       Range("B5").Offset(Counter, 0) = PrintData

       Counter = Counter + 1

    Next

    

    ' ローカル制御コマンド送信

    HP356xA.WriteString "LCL"

    ' 終了処理

    HP356xA.IO.Close

    Set HP356xA = Nothing

    Set RM = Nothing

    

    RunFlag = False         ' フラグのリセット

    MsgBox "終了しました"

End Sub


ちなみに今まで使用していたGP232であれば、こんな感じです。


Sub btnStart_Click()

    

    Dim Counter         As Long             ' データカウンタ

    Dim Rdata       As String               ' 受信データ文字列

    

    ' 2重起動の防止

    If RunFlag Then Exit Sub

    RunFlag = True                          ' 動作中フラグをセット

    

    ' GPIB 初期設定

    eg.CardOpen                             ' カードオープン処理

    eg.Delimiter = eg.DELIMs.CrLf           ' デリミタの設定

    eg.TimeOut = 3                          ' タイムアウトは3秒


    ' 測定器の初期設定

    eg.ActiveAddress = Range("C2").Value   ' 測定器のアドレス読み取り


    If eg.ErrorHold <> 0 Then

        ' エラーが発生している

         eg.CardCLose               ' カードを閉じます

        Exit Sub                    ' 中止します

    End If

    

            

    ' コマンド送信

    eg.AsciiLine = "DDAS"               'アスキー形式で読み出し

        

    For Counter = 1 To 1669             'データ数はヘッダー66+数値801(Re)+数値801(Im)

        

        Rdata = eg.AsciiLine

     

        Range("A4").Offset(Counter, 0) = Counter         ' データカウンタの書き込み

        Range("A4").Offset(Counter, 1) = Rdata           ' データの書き込み

        

    Next Counter

    

    eg.AsciiLine = "LCL"       '

    

    eg.CardCLose

    RunFlag = False         ' フラグのリセット

    MsgBox "終了しました"

End Sub


どうです?ずいぶんすっきりしたでしょ?GPIBのアドレスはほぼ弄らないし、固定でもいいや…と思ったので面倒臭いから固定にしました。

考えてみればメインの玩具であるHP3562A,HP3563Aのデータ採取は主にこれを使っていた訳で、801点×2軸のデータが数分で取れる素晴らしい道具となっており、この手のツールがないと本当に危険です。しかも今回の変更で数分が数十秒に変わってしまった…

皆様におかれましても、自動計測や周期的なデータ取りで困った際は取り敢えずCSV掃き出し、又はExcel+VBAで逃げるか?程度で試し、先ずはその自動計測が有効か?というのを試されてはいかがでしょうか?

本気でやりたきゃあ後でソフト組めば全然OKです。

動くものが仕様として出てきていれば、ソフト屋さんだって全体像が見れるってもんです。おおよそ外部に依頼するときに上司や余所者や銭ゲバが顔を出してきて余計なものがどっさりついてくるので、保守や費用対効果を考えたら、ひたすらシンプルにして『こんな感じのをバグが出ないようにうまい具合にヨロシク作って?それでUIは現場と一緒に煮詰めよう!』と、お願いするのが一番です。

(いつもの顧客が本当に必要だったものと同じです)


さて、昨今の会社ではさっき言ったことがまさにバンバン行われていて、余計な輩が絡んで元値の10倍に膨らむというのが普通にあったりします。

さらに残念なことに、うっかりスーパーマンに見える私に渡される予算と時間はその開発に必要な額面の100分の1に満たないことが良くあります。

金も時間もないのに成果だけは要求されるというのは、バブル期謳歌のキチガイが上にいる組織ではよくあるパターンです。

皆様におかれましても、何事もシンプルに、バブル期キチガイ上司の言うことは受け流すつもりで仕事にあたり、個人の生活をしっかり充足されていただけることを切に願います。

そんな訳で、個人ごときがやる程度の測定においては、まだまだ安直にLabViewには流れたくないッ!なんて思う今日この頃なのでしたとさ…。(何故か会社の仕事を家の測定器でやってますが…)


誤解の無い様に仕事で使うなら、LabVIEWに流れた方がマジでコスパ良いですよ?とだけは言っておく…。


ではでは、今日はココまで。
またの機会に会える事を楽しみにしています。

2022年3月1日火曜日

EBAZ4205でガッツリ遊ぶ前に電源事情を調べてみることにした

さて、ずいぶん昔?に流行したEBAZ4205の基板の話の続きです。

今回は2.0㎜ピッチコネクタ→2.54mmピッチコネクタの変換ケーブルをサクッと作り、ちょっとした下調べを行ったので記そうと思います。


2.54mmピッチへの変換ケーブルですが、うっかり誤挿入を防ぐために、キーがついているMILコネクタにしようと思いました。

世間様は今だコネクタ周りの樹脂は流通が悪く、どのメーカーも代替品切れ状態が続いております。

オムロンは比較的在庫があるのですが、圧着の端子部が入手困難です。

圧接なら入手可能です。

圧接が嫌(工具がない)なら、ちょっと高いですが日本航空電子の物がまだ手に入ります。

数年前に余計目に買ってなかったことを後悔しながらも、とりあえず今回は13本用意しました。

2.0mmピッチの奴はアリババに転がっているものを使いました。


さて、ここからが本題。

EBAZ4205の電源は残念電源(クソ電源)という話をチラッと風の噂で聞いたことがありまして、基板壊して(壊す可能性を含めて)測るのは嫌なので、とりあえずサクッと出せる範囲でどこら辺が残念なのか?を分かるようにしてあげようと思った次第です。


壊す可能性のある測定というのは、低周波域(概ね1MHz程度まで)の挙動測定です。

ぎりぎりの負荷かけてガンガン動かしてインピーダンスを測ったり、ノイズを重畳してPSRR計測などをすると、どうしてもIC周りのスペックオーバーギリギリの入力をしてしまいます。

FPGAは定格外の領域なので危険です。

電源ICが既知のメーカーの既知のICならいいですが、フットプリントだけTIの製品に似た出どころの怪しそうなICなので、非破壊検査待ったなしでございます。


本来ならもう少し踏み込んで、何枚か壊しながらの測定をしたり、

シャントスルー法で基板のインピーダンス見て、

m9(^Д^)プギャー

してやるべきなのですが、私の懐事情はそれを許してくれませんし、大型特殊のおっさん相手には誰も投げ銭などしてくれません

今回はそこまでの話をする前段階のの中間報告ということで、諦めて頂ければと思います。


また、シャントスルー法でインピーダンスを測るにしても、実際には、DCブロック突っ込んで、ネットワークアナライザ(もしくはTG付スペアナ)を壊さないように、減衰器の減衰量は適切なものを選んで、そのうえで校正かけて、一番S/N比がよく取れそうな減衰器で微調整しながら伝搬の状況を確認する。

勿論条件変われば校正かけなおしなので下手すりゃあ数日潰れる大仕事…


という一連の手順が最低限度必要でして、スペアナへの入力限界を超えないための下調査

を行うためのノイズ調査という括りでもよいかもしれません。

世間ではいまだに電源インピーダンスの測定ですらマイナーな話のなのですが、何時になったらこれらの測定がものすごい重要だということが浸透するのやら…


さて、手始めに起動の電流はどんな感じか?という観点で見ます。

出荷時状態そのままのもので、一切手を入れていません。

運よく電力計をお借りできたので、そいつの波形を貼ろうと思います。

EBAZ4205がこれ





5V0.5Aぐらいでも十分動きそうですが、余力見て最低でも1Aぐらいのものを用意しましょう。


ちなみにQMTECHのボード(XC7Z010)だとこんな感じです。



CPUに負荷がかかっていませんし、FPGAのロジックもほとんど利用されていないので、消費電力はかなり低めの値です。



次に上記のような初期出荷状態の負荷条件で、ノイズの状況を確認しようと思います。

とりあえず家のDL1740ではもうノイズフロアの領域に入ってしまって、全くと言っていいほどまともに計測できません

ですので、急遽準備したマシな物(キーサイトのMSO3000)で測定します。

本当はFETプローブや差動プローブを用意すべきなのですが、『そこそこ見れたし、準備が面倒くさかった』という事で、勘弁してください。


EBZA4205のノイズに危ない兆候がありました。





Ch1:3.3V

Ch2:1.5V(DDR-SDRAM)

Ch3:1.8V(VCC AUX)

Ch4:1.0V(VCC INT) シルク上は1V9というロットも存在するので要注意。

色々なトリガー状態で観察してみたのですが、1.8V系統が主要因であることは間違いないようです。

Ch3が800μ秒程度毎に大きく振動しているのがわかります。

150mV近いです、明らかに問題のある挙動ですよね。

それ以外はいたって平穏な様子。

また、この振動を拡大すると…


こんな感じで120~150MHzで振動が起きていることがわかります。

PCBパターンやレイアウトの設計上の問題でしょうか?

共振しやすい周波数があるようです。中華製のこの手のボードはビア打ちが結構甘くて、しょうもないところでインピーダンスがガッツリ狂ってモードが立っていたり、とりあえずは繋げてみたら運良く動いた!的な回路のまま出してくる輩も結構まだいます。

一回シャントスルーでガッツリ測った方が良いかもしれません。

その他の電源は、この1.8Vの振動に揺られて若干の被害を受けている模様。

ただ、動作の支障となるまでには至っていないようです。

こういうところにPSRRを測る理由があるんですが、いまだに一般的ではないんだよなぁ~残念。


念のため、ZYNQ特有の問題ではないことをしっかり確認したいので、QMTECHのボード(XC7Z010)でも1.8V(VCC AUX)の挙動を確認しておきます。



こちらは問題なし…と言いたいですが、スペック的に危険領域です。

パスコンの容量と数がデータシート上はNGです。

ですので、パスコンを極限まで削って強引に動かしている…

という認識でいたほうが良いかもしれません。

パスコンを増やしてノイズの幅を減らしたいですが、それをすると否が応でもループゲインが下がります。

下がるとインピーダンスを補うためのコンデンサが必要になります。

そうやってガッツリ沼に嵌るので、結局は電源ICを良い物(でかい電流流せて高い周波数領域をカバーする品)にせざるを得なくなるのです。

ちょっとコンデンサを増やす分には電気的には問題ありませんが、今回のQMTECHのボード(XC7Z010)では基板自体の空き空間がありません。

内層数を増やして信号を中に持っていくか?基板サイズを上げてゆとりを持たすか?お高い高級なコンデンサで一発逆転を図るか?IC変えて高周波数&広帯域化しまうか?の程度の選択肢になります。

というわけで、基本機能検証用のお試しボードだからと割り切った設計になっています。


とまぁこんな感じなので、玩具・評価用として遊ぶには程よい品物ですが、ガッツリ本気の用途には格安ボードは基本使ってはいけないことを十分認識しておきましょう。


ここからは超個人的見解ですが、EBAZ4205の落としどころの経緯は、TIのTPS563201の劣化版互換電源ICを使ったら制御帯域が低すぎてリップルノイズも大きく、電源スペック守れんのでパスコンバンバン置く羽目になった。

だが、パスコン置いたら高い周波数領域カバーできるようなパターン・レイアウトが困難になった。

おまけに一発目の負荷急変の電源供給の容量がカバーできても、数発連続で来るような急な負荷動作の時はやっぱり高い周波数で振動してしまう。

…どうせ大した制御(主制御)ではないし数年で終わる代物、見なかったことにしよう…

と、そのまま出荷…こんなドラマを感じてしまいました。


ではでは、今日はココまで。
またの機会に会える事を楽しみにしています。


2022年2月5日土曜日

SMA用トルクレンチを安く上げようという話

おはようございました。


とうとう『Lite VNA』なるものに手を出し、家にある8GHzまで使える減衰器で性能を見てみたら、ノイズはあるものの4GHzぐらいまでそこそこ所望の精度で使えることが分かりました。

さて、会社でも2.4~2.5GHzを使うようになり始めたこともあり、とうとうSMA端子での結合時のトルク管理が肝になる領域に片足突っ込み始めました。


ぶっちゃけ機械工作ばかりやってる人間の手の感覚は、下手なトルクレンチよりもトルク管理がシッカリしているのですが、社会はそういった職人技を公的には認めません。


そんな訳で表向きにでもトルクレンチを用いた管理は必須です。

しかしながら正確なトルクレンチは1か月の食費より十分高価ですし、性能の割には手が届きにくい範囲です。


そこで、代替手法として、中華製の安いトルクレンチと、その調整手段をもってそれなりに信用できそうな値で管理することにします。


購入したのはアリババで転がっていたトルクレンチです。



一応0.57Nm(SMA用)、0.9Nm(3.5mm用)の二種類注文しましたが、予想通り調整されていないものが届きました。

来たのは1.2Nm、1.0Nm…しかも中は錆びまくり…まぁ、そんなもんです。


さて、まともに動かないことを確認したら、バラして掃除して、軽くグリスアップします。動きが悪くなるほどにグリスを入れちゃだめですよ?


トルクの調整方法ですが、正規のトルク計を買うと中産階級の月の手取り給与並みの厳しい価格になります。

そこで、比較的安価に転がっているバネばかりや、フォースゲージを使って調整します。

レンチの回転中心から力をかける一の距離を計測したのち、滑りの良い作業台に8mmのヘキサレンチを固定し、写真のようにフォースゲージやバネばかりで工具を使う方向へ力を加えて、ピーク値を取ります。



摩擦や力のかける方向などの兼ね合い、90度折れ始めの力の追従などで、一発で綺麗に測れるわけではないので、何度か取り直しましょう。

今回は135mmの点をフォースゲージで押したので、1000mm÷135mm倍のトルクがかかります。

ですので、0.56Nmであれば、4.148N、0.9Nmであれば6.667nmあたりで管理します。

念のため、デジタルトルクレンチでもこの管理値がそこそこ正しいことを確かめました。

いくら丁寧に同じ様にトルクをかけても、そこそこバラつくのはそういう代物だと諦めましょう。


因みに、正規の調整されたトルクレンチだと、こんな感じで良い値が常に出ます。


正規のものであればバラツキがほぼないので素晴らしいですね。


この手のトルクレンチは与圧のかかったバネ式のトルクレンチですので、調整する手段が必ず必要になります。

皆様におかれましてもそれなりのトルク管理と調整環境を整え、気楽に作業ができる環境づくりを構築されることをお勧めします。
作業を始める障害・ハードルは環境を良くすることによって十分に問題ない程度まで低くすることができます

ではでは、今日はココまで。
またの機会に会える事を楽しみにしています。