2021年8月1日日曜日

最近の省電力のRFID環境は非常に悪いので、受信機側で対処策を施す

おはようございました。
最近の『なんでも無線でやっちまえ!』の影響もあってか、弱電波かつ省電力系のRFIDにとっては一気に厳しくなっております。

特に変調方式が単純なON/OFFのもの(広義のAM)やAMのような変調方式であれば、ものすごいノイズに弱い変調方式です。
そのため、周辺のノイズ環境で何も取れなくなるという事態になることがしばしばあります。

そう、太陽光発電(全体的な周波数帯のノイズが底上げされる)とか、違法無線(特定の周波数でフィルタで抑えきれないほどの電波強度)とかな!

そんな訳で本来の性能を発揮できないRFIDレシーバーに対して、
『これでもかッ!』
という程にS/N比向上対策をしようと考えた訳です。

とはいうものの、304MHzなんて変な周波数帯(公称は309MHzらしいが…)を使っておられれるので、かなり大変。
レシーバー側はSAWのBPFが1段入ってるだけでプリアンプも何もないので、超近距離用途限定の代物なのですが、それを数m離れたところで、しかもそこそこの速度で移動している物体を検知したい、しかも確実に取り出したいだなんていったものだからさぁ大変…。

そんな訳で、受信機の内部に加工を施すと色々厄介なので、アンテナから受信機の間に何かを入れるということで妥協することにしました。

まずはバンドパスフィルタ。
LCで組むとかなりの段数になるうえに、そんなに急峻ではないため、セラミックの物理特性を生かしたSAWフィルタを使えないか?と探したところ、ディスコンになった村田のSAWフィルタの流通在庫を幾らか手に入れることができました。
多量に生産するときは、近い製品で販売中のリール買いできる物があったので、とりあえずこいつで茶を濁そうと思います。

使用部品を用意して、まずは基板に電気用接着剤で仮固定
頭で描いた手順確認しながら、1個目を作りつつ手順の整理をしてゆきます。
完成したので、残りの3台を同時並行で作りこみ完成。
完成後はフィルタの特性を簡易的に計測して電気的なミスがないか確認しておきます。
最後にポリアミドのホットメルトで封止して、熱収縮チューブとテプラを張って、完成。
フィルタ後のプリアンプはAmazonに転がっていたSPF5189Zを使ったものを2台用意しました。

するとあら不思議…周辺のノイズで全然受信できなかったRFIDが20m近く離れても十分に取得できるようになりましたとさ…。

結果から言えばこれで片付くような簡単な代物ですが、電波を扱ったことの無い方には何でトラブルが起きてるのか分からないとか、どうやって原因を探すのかもわからない方が多くいらっしゃいます。
原因が分からねば対処方法も見つけられませんので、原因の特定を確実に追い込むことが成功への最短距離です。
そう、技術の世界にコレをやれば何とかなるというような魔法の薬や言葉はありません。
治ったとしたならそれは運が良かっただけなのです。

敢えて言わせてもらいます。
『電波物をやったことがない人は素直にノイズ対策か電磁波経験者に教えを請え!』

ではでは、今日はココまで。
またの機会に会える事を楽しみにしています。