2023年5月26日金曜日

AC電源ノイズ測定環境の構築と報告(やはり出先の社宅はACコンセント電源が糞だった件)

きっと共振電源という名の狂信電源野郎の仕業に間違いないッ!

おはようございました。


もりた@糞電源に悩まされる漢 です。


こんな変ジニアの日常を綴った内ゲバ系ブログをこよなく愛してくださる方々に於かれましては、少し前に

『測定器触ったら結構ビリビリくる』

とか、

『こっちに来てからレトロな測定器の調子(測定結果)がすこぶる悪い』

という話をしていたのを覚えていらっしゃる方が多いのではないでしょうか?


また、現実の世界で私と話している方に於かれましては

『測定器回す時にしょっちゅう筐体からビリビリきて(感電して)嫌になる!』

と騒いでいたのを覚えていらっしゃいますでしょうか?



そんな、ノイズ発生源の特定調査や問題解析なんかは仕事だったら結構大事でお金もらえるはずの『多分誰一人として存在しない客へのネタ』を白昼堂々と晒してやろう!と、会社の仕事ついでに自前の測定器をそろえる日々のおかげで、貯蓄は常にスッカラカンな今日この頃、いかがお過ごしでしょうか?



この度、無事晒せる程度の環境が構築できたので、公開という名の後悔をしようと思います。


先に言っておきます

『コンセント電源で音響が変わるとか言っている野郎どもは歓喜しろ!』

そして、

『太陽光発電やEVキチガイ、無駄に共振系電源使って逃げる設計者共を弾劾しろ!』

と…


そんな訳で、少し前に『THOR LABS の EF115』という良さ気なフィルタを見つけ、無事会社の顔をして個人での購入に漕ぎ着け、特性を測りました。

それで使える!となったので、米子に置いて来ていた高圧差動プローブと組み合わせ、ACコンセントのノイズを測ってみた次第。

装置構成はこんな感じです。

いたって単純で、差動プローブ~オシロの間にフィルタをつけただけです。

そもそも行けんのか?(逝けるのか?)半信半疑だった私ですが色々考えた結果、やらない失敗よりやる失敗!と意気込んで簡単に測定できる治具を用意しました。

さて、結果を晒す前に何でこれを測るのか?のおさらいです。

測定器やオーディオアンプみたいなものは、電源のノイズから幾らかの影響を受け、出力波形がひずみます。

この時、出力波形が入力波形の変動をどれぐらい受けるのか?を現した数値がPSRR(Power Supply Rejection Ratio)と呼ばれる電源電圧変動除去比の値です。電源ノイズ除去比と呼ばれることもあります。


一般的にこの値は数百Hz(商用周波数とその高調波を抑える程度)までは結構除去率が高いものの、ちょっとでも高めの周波数(数十KHz)においてはほぼ笊状態です。

昨今は昔ほどのものではありませんが、それでも電源のフィードバック制御がかけられる数十kHz程度までしか抑えることは困難なのです。

制御による抑圧の利かない周波数帯域ではLCフィルタで運が良ければ消えてくれるし、逆に共振だってあり得るよ?ってな状態。


昔はせいぜい十数次程度までの高調波を考えればよかったので、普通にダイオード整流+大容量のコンデンサ入力+リニアレギュレータで全く問題が出なかったのですが、昨今電子機器が増えたおかげで、電源ノイズが電源側の伝導ノイズとしてガンガン流れる世の中になりました。

特にインバータや太陽光発電の急速な普及によって、一気にACコンセントの電源は汚染され、単純な回路構成ではノイズがそのまま通ってしまうほどの粗悪な電源環境となる始末です。


そんな訳で、古めの測定器はガンガンノイズフロアが上がりますし、オーディオには堂々と高周波のノイズが乗りますし、現場にいる敏感な人間測定器な方々に於かれましては、訳が分からずに悩まされる状況であったりします。


本来こういう障害を抑えるのが法規制であって、電源側のインピーダンスは固定の値とか適当に決めた(大変失礼)な法規制にあっては逃げ道を用意してあげたとしか解釈できず、消費者の害にすらなりえるわけです。

電源やクロックのスペクトラム拡散と一緒です。

アレもノイズの出力・強さ・害悪の度合いは大して変わらない癖に、周波数が分散されたことで測定器上では小さく見えるという罠なのです。


ぶっちゃけ、法定試験の測定条件に合わせた特定のインピーダンスの時だけノイズが下がるようにフィルタの定数組んでしまえば、あとは知ったこっちゃない!という、最近の言い訳と逃げ口上による責任逃れを考えるのが天才的な日本人似非設計者界隈には素晴らしい題材となっております。

えぇ、パラメータをひたすら振って、特定の条件だけなら高性能が発揮できるような値を模索するという、ひたすら定型作業のRPGのレベル上げ的な『仕事やってる感丸出し』の暇つぶし大好きなのが日本人の多数派であったりもします(もちろん本人に自覚はない)。

このような非現実なシミュレーションでの総当たり戦を大得意とする、現実の世界にとは異なる世界に生きている方々にとっては、大変都合のいい玩具的題材であったりします。

しかも、パラメータ振ったらどこかに共振点っていう確実な大当たりがあり、何なら段数増やせばよりギャンブル性が高まるもんですから、外れのないギャンブルは超大好きな方々にとっては中毒間違いなしであったりもします。

えぇ、昨今の日本は欧米の悪いところだけを真似て暗黒化しちゃいましたよね。

嘘の塊ともいえる学問は経済学だけでお腹一杯なので、全力で遠慮させていただきたいところ。


また、ZVS/ZCS(電流もしくは電圧が0のところでスイッチングをしてスイッチング損失が著しく少ない)を用いた効率の高い共振系の電源についての実際の動作においては、共振というだけあって充放電を繰り返して電源側へガンガンノイズを送り込みながら電圧変換をするため、実際に使う電力に対してものすごい量の充放電電力(≒電源へのキックバック)が出ていたりします。

コイツの唯一の許される利点は周波数が負荷に依存するため短時間での周波数変動が殆ど無いぐらいしかありません。


こういう背景もあり、私はスイッチングノイズが少ないから…と真面目に設計していない人の多い共振系電源がそこまで好きではありませんし、実際に過去設計しようとしていた電源にあっては、おもっきり上司に牙をむいて反抗していたのは当時の関係者なら皆が知る処でもあります。

私が狂信系電源と宣っている所以でもあります。

(それが祟って、その当時の職場の下品な空気作っていたボスに『お前みたいなやつはとっとと辞めろ!』とキレ芸を披露されて辞める羽目になったのは知る人ぞ知る内輪話…)

まぁ、結局当時はS〇NY系列という圧倒的数の暴力的圧力の結果、ディスコン寸前だけど初期型PS3で余った電源ICあるから使え!と強引に共振系で組まされたので、ムカついた私は正々堂々当時のノイズ試験で評価対象になってた150kHz以上の基本周波数で動かしてやり、

『お前らみたいな姑息な手(基本周波数を50kHz未満で使って、3倍高調波が150kHzにかからないように逃げる)を使って俺は逃げねぇんだYO!』

と、堂々と高速伝送路周りの経験をぶっ込んだその当時の会社には無かった構成で組み上げ、しかも試作回数を極力減らして試作は評価機の1回で仕上げました。(しかも改版した内容がコンバータ周りの修正は0で、シーケンス周りの追加要望の反映という程度)

ノイズ規制も余裕でクリア。設計寿命もいつも通り20年。

130Wソコソコの定格でいいはずが、何故か空冷かけたら300W取れるとか、標準で空冷予定だったのに

『空冷?なくても動くよ?FANなんてぶっ壊れるもんだし、設計者として当然だよね!そうそう、空冷かけてないときの定格は熱定格も含めて200Wな!』

なんていう、奢りすぎだろお前!的な代物をさくっと仕上げてあげたのは関係者の記憶に残るところです。

本来はノイズ規制もCLASS A=産業用途でいい代物を、それより厳しいClass Bを300W出力で通せるスペックを用意する…なんていうキチガイ染みた電源を残してやったので、分かる人には笑って貰えたのではないかな?なんて思っております。

私から見れば、周囲見渡していたら産業用途のくせに信用無くすような無駄なケチり方しやがって!と憤慨していましたし、産業スペックなんだから良い意味でのキチガイ性能は歓迎すべきだよ?という意味も込めて設計していた記憶がガガガが…。

と、私のように

共振系は高目の周波数にしてしまえば自ずと電源側へのキックバックも小さくなるし、様々な受動部品を小さくできるのでノイズ対策も余裕!

何なら瞬時電圧低下の時に低下できる周波数の余裕幅が増えるので、瞬低・瞬停対策だって完璧!願ったり叶ったりジャン!

(共振系電源の入力電圧低下や瞬時的な出力取り出しに於いては、動作周波数が下がり実効値の電流を上げ、コンバータの出力が上がるようになっているので下の限界は低いと停電対策が楽だがその分短絡故障時の動作が…)


何て考えてくれる人は少数派な訳でして、現実には総合的な効率・価格の兼ね合いから、50kHz弱近辺もしくはその下の22kHz近辺のAC/DC電源が一般的ではありました。もちろん今はガッツリ状況が変わっています。


勿論私みたいにキチガイ染みた輩も一定数おりました。

トランスもチョークコイルも1発目はバグ出し用に自作派!なんて言い出してとりあえず手計算かエクセルシートで計算してボビンとコアの選定をし、大体の値を絞ったらリッツ線とボビンとコアと絶縁用のテープを用意して、ボビンに巻き巻きして、ガリガリコアを削ってギャップ作ってLCRメータや直流重畳特性測って値を確認しながら目的値に追い込んだのち、『所望の性能出るよね?』と、計算で出てきにくいパラメータ測定をやるという、分かり切ったことを確認するだけの作業と思われ兼ねないような普通はやりそうもないガチ作業をやる方は別です。


しかし今は電源自体を日本国内で構成すること自体が少なくなり、むしろ電気回路自体を組める人間すらほぼ絶滅危惧種状態であることも否めない世の中です。

まともで強力な電源を手に入れるには、通信系や軍事系に手を出している企業や宣伝しないくせにシェアがガチ!という意味で闇の帝王のデルタぐらいしか手が無いのかもしれません。


もっとも、最近はこの問題が無視できなくなったせいか、伝導ノイズの規制の対象周波数が9kHz~という形で規制されるようになりつつあります。

敢えて言おう

『似非設計者はこの際勉強して真面なガチンコ系になるか、それが嫌なら引退しやがれ!!』


さて、テレビ(白痴箱)でありそうな内輪的笑いネタの前置きはこれぐらいにして、私が今拠点にしている広島市の一角では、こんな感じになました。

まずは会社付近の状況。たまには電源入れないと壊れるよ?と思い、オシロは会社に転がっていた奴を使いました。


また、差動プローブの電源自体が揺らされているので、いくらかノイズが出てくるため、乾電池のアダプタを作ってそちらで電源供給しました。

まず、差動プローブが短絡状態はこんな感じ。測定器自体のノイズフロアってやつです。



そして、次が差動プローブ+フィルタを使って、kHz帯より上のものを撮ったところ…

プローブは1/100で撮れました。

わかりやすいように

黄色:kHz帯以上のノイズだけを取り出した

緑色:測定対象の波形

としました。



まぁ、こんなもんでしょ?という感じのノイズです。

0クロス点での微小な振動と途中決まった位置で起きる特徴的なノイズがちらほら…ダイオード+コンデンサインプットの挙動がちょっと見られる程度です。


それでは今回の本命!私の拠点のビルです。


まず、差動プローブが短絡状態=装置のノイズフロアはこんな感じ。

オシロがレトロな奴だけに、幾分か漏れているのがよくわかります。


そしてAC入力を入れると…






ものの見事に80~50kHzぐらいのノイズがバンバン表れています。

この手の周波数帯は外に飛んで行かないので、ガチで機器の内部に入り込んできます。

0.6Vp-p程度ですから、実効値で0.2Vrmsの80~50kHzぐらいのノイズが乗っかっていることになります。

この帯域は古い測定器ではPSRRが効かなくなる領域ですから、そりゃぁ、測定結果が汚くなるわ…。

しかも周期の遷移がいやらしくて、0クロス付近が高めの80kHzで、電圧が振られた中間は50kHz付近、単純なフィルタでは解決しそうもありません。

面倒くせぇ~コイツは引っ越しかノイズカットトランス確定だ!とならざるを得ません。



そんな訳で、古い測定器がなんか調子悪いのはこいつらのせい!

ということで、測定機用にお高いノイズカットトランスを用意するか、それとも転職して米子に帰るか?むしろ違う地域に単身赴任(※ただし近所に太陽光発電のない土地に限る)して、測定器と全国デビューするか?悩ましくなりそうであります。

こりゃあ、単身赴任引っ越しの要件に、電源のノイズが少ないこと!なんていう変な物件探しの要件が生まれそうです。

オシロとプローブ、測定環境持って不動産巡りか…いやだなぁ~(しかもせっかく見つけても、隣で太陽光発電されたりでもしたら一発アウトだし…)

…と思ったら私の家の付近も太陽光発電でしっかり汚染されてしまいました…(涙

Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン

(波形見るに特定の周波数で、パワコンやインバータのような下品なノイズはまだ少なそうに見えるし、広島の拠点ほど酷くはなさそうですがちょっと嫌な感じです)


こりゃぁノイズカットトランス一択だな…と物色し始める今日この頃なのでした。



次回予告?

で!ついカッ!っとなって買ってしまった

電研精機研究所製ノイズカットトランス NCT-I1 100V/100V 2kVA !!!


コイツを通せば測定器から紛れ込んで来るノイズが一気に減ります。


ではでは、今日はココまで。
またの機会に会える事を楽しみにしています。