2020年3月23日月曜日

DC2629A(LTC3310SEV評価基板)の代表特性を調べる

おはようございました。

どうせ当たらないだろうけど、動向調査や今後の課題で色々と知っておきたいから応募しとくか…なんて不純な動機で応募した評価基板が当選してしまいました。
物は1c㎡程度のフットプリントで1.2Vの10A流せるスイッチングレギュレータでして、
なかなか強烈・凶悪な代物です。4相構成まで構築できるので、4個実装で最大40A…物凄い世の中になってしまいましたね…基板はもはや強烈な放熱部品としての性能が必須要件になってしまいました。
低圧のCPU回りにはもってこいなのですが、特性を見てみればわかるのですが、ちょっとばかり確りとデータ取りと再設計しないと、えらい目に合うのが容易に想像できる結果になりました。

当たったもんは仕方ない…とりあえずサクッと測れるところを測ってみました。
我が家には大元の測定器自体は結構しっかりと負荷をかけられるものが揃ってまして、
PAK-6-60A:6V60A電源(この時代のために2台用意)
PLZ-152WA:0Vでも30A引いてくれる電子負荷装置
などなど…まぁ、測れるところからやってみましょう。先ずは測定機の性能検査。
PSRRを測りたいってなら、電源がある程度周波数で振れる電源が欲しいのですが…。
電源インピーダンスは問題なさそう。

外部からの制御に難あり…100HzまでのPSRRしか信用してはならないって話です。
この手の問題は後日対処して、最低限もう少し高域(少なくとも100kHz以上) のPSRRについても評価せねばなりません
特にPCIe周りは4.0辺りから電源のノイズ評価(PSRR)を確実にしておかないと、ほぼデスマに突入します。

先ずは負荷大小での挙動…スイッチが遅いのは電子負荷の限界なので勘弁…。
緑が電流です。1A/divで設定しています。0.5A⇔2.5Aです。
おや? リップルはLC共振周波数と制御の絡みの問題なので、スイッチングノイズに着目です。

2MHzがスイッチング周波数ですから、その帯域のノイズが多いことが分かります。
1.2Vの5%(一般的な電源変動許容値)がこの60mVです。動作マージン稼ぐために、普通は30mVぐらいにリップルノイズを抑えた設計をします。
つまり、この評価基板の構成は最低限動く構成の基板であって、そこから何か制御なり、ノイズ対策を追加しないと正常動作の期待をしては駄目な構成だという事です。
普通のリップル(68kHz付近)自体でも結構暴れています。
制御の絡みもありますし、LC共振対策を何かせねばならないですね。



この程度の負荷変動挙動は問題ない様子。普通に使う分には問題なさそうです。
あとは、リップルノイズの作り込みだけが勝負の分かれ目だという事ですね。

続いて本当は大本命PSRR、今回100Hz以上は綺麗に測れなかったので、無視してください。
DC~100Hzで65dB弱の除去能力があることが分かります。それを踏まえた電源変動も加味してコンデンサと制御の設計をしろという事です。
ここら辺のデータは公開されていませんので、回路設計する際にしっかり作りこむための重要な基礎資料になります。
…でも本当はもっと高周波側(できれば10MHz位)まで欲しい…そんな方は私に個別相談するか、自分でデータ採取してください。
うちの装置で精度良く取れるのは頑張ってもせいぜいkHzオーダーなので、レンタルせねば無理です。
レンタル→スポンサー(資金提供者or測定器貸与者)が無けりゃぁ~できませんので…。
でも、自社でやるより外部のお前!が良い方は、私にご相談ください。

まぁ、ここは… このブログに書いていることは全て私の妄想の世界であり、現実とはあまり関係ないかもしれません。というネタサイトだという事をお忘れなく…。
あ、逃げた…。

さて、PSRR以外に大きいものとして電源の設計の際に関係してくるのはターゲットインピーダンスってことで、電源インピーダンスです。
わが家の測定器構成ではせいぜいmΩオーダーまでですので、μΩオーダーに入った低域は当てにならないってのは諦めてください。制御の利く70kHzぐらいまでを知っていれば後はコンデンサで何とかする領域なので、頑張ってください!としか言えません。
参考までに、『インテルさんの20年ぐらい前の指針で1MHzで0.1Ωは切っとけよ!』だそうです。
今はそれよりもっとキツイってことです。
ですのて、実働条件下のシャントスルー法辺りで測定するのが一番良いです。
それにはそこそこ優秀なネットワークアナライザが必要ですが、私は無線を触るかもしれない人間にも関わらず、そんな高級な代物は持ってません(涙
せめてTG付きのスペアナ位あれば位相以外は何とか測れるんですが…。
さて、最後に制御特性。はんだ付けして測定なので、最後に持ってきました。
それにしても非絶縁のスイッチング周波数2MHzで帯域が70kHzそこそこだってのは、サーボ電源屋からしたら怠慢としか言えない構成だなぁ~なんて思ってもみたり…。できれば200kHz近くまでは何とか粘って欲しい所です。まぁ、私が専門業務で担当したら簡単にやってしまうかもしれませんが…。
(で、それを横目で見てた素人上りな人が『なんだ…簡単にできてるじゃん!』とか言って、訳も分からずおっぱじめて、ひたすらパラメータ闇雲に弄って泥沼にはまって、定時で帰宅する私に因縁つけはじめて社内の空気が悪化するってのがいつもの王道転職パターンという訳なのですが…)
HP3563Aではそろそろきついか?なんて思って臨んだのですが、ギリギリ何とか耐えました。でもやっぱ厳しい…。
本格的にMHz帯の対応を考えなあかんなぁ~(個人でする事か?って話はあるけど…)。

そんな訳で、せっかく当選したのだから、皆に設計の足掛かりを渡して高みの見物決め込もうと思った今日この頃なのでしたとさ…。

ではでは、今日はココまで。
またの機会に会える事を楽しみにしています。

2020年3月17日火曜日

電子基板の検品って動作確認だけではないので目視も重要ですよ?

おはようございました。
最近色々と手を広げてしまって、それが仇になり、ちょっとワタワタしています。
おかげで時間が無い‼と、うれしい悲鳴。
ただ、同時にやりたいことを片づけるための資金(研究開発費)もない!
と、こちらは悲しい悲鳴なわけで、会社で真面目に働けないなら趣味で…なんて思ったのが仇となっている模様。
私の関わっている電気・電機業界というのは医療分野と同じ規模で研究開発投資が成されている業界な訳でして、そこで個人の資金力で…というのは、やはり厳しいものがあります。

やっぱ、絶対的な資金力というもののためには、研究開発させてくれる会社に属するしか無いものなんでしょうか?
でも、その会社という組織の老害様たちが毎度の如く何かしらの邪魔建てをしてくれる訳で…。
まぁ、暫くはネタに困らない会社に片足突っ込んで属しているので、できる範囲で推してみながら、公的に副業が認められるか?研究開発をある程度やらせてもらえるか?機会をうかがう事にしようと思います。
それまでは自宅の離れ小屋が作業場です。

さて、そんな無駄話はさておき、近年のハイテクとはかけ離れた一部のインフラ業界では、昔ながらの基板(なんと、未だにZ80が載っている)にお世話になることが多く、その基板もまた、時々不調になるので、メーカーにて修理をお願いしていることがあります。
まぁ、当然ながら雑い作業で適当に対処されて返ってくる訳ですが、その中でもかなり酷い事例があったのでご紹介。

某標識に使う基板のなのですが、修理で返ってきたものを交換しようと開封した矢先、目視で異常を見つけたので急遽自宅にて修理を行う事にしました。
基板はコイツです。
おい!修理出して戻ってきた製品じゃないのかYo‼
そして、これが破損個所の拡大図。
 あれ、基板修理で○○万円かかっていませんでしたっけ?これ…。
言い値の金をとりながらも、こういう見た目で直ってないものをよこすだなんて、K〇IT〇さんは噂通りの素晴らしい会社だなぁ~なんて思ってしまうのでした。
まさか、こんな便所の落書きのような場所で検品不良を
m9(^Д^)プギャー
されるなんて思ってもみなかっただろうけど…。

大事な事なので言っておきます。
 このブログに書いていることは全て私の妄想の世界であり、現実とはあまり関係ないかもしれません。
大事な事なので、もう一度言っておきます。
 このブログに書いていることは全て私の妄想の世界であり、現実とはあまり関係ないかもしれません。

まぁ、直ってないもんは仕方ない、時間がもったいないので手前で安全な状態にするべきと思ったのですが…。

現職は電子回路の事に詳しい人が少ない会社、しかも静電対策すら無い様な酷い有様なので…
『動くんだろ?とりあえず取り付けて電気入れて動かせ!』
という声が出る始末…。
 いやいやいや、そんなことして下手したら、電源も基板も全部死にますって…。

補足:
破損個所はバイパスコンデンサです。
生の電源(おそらく12V)が乗っかっているので、電源が短絡故障になります。
この基板の電源は5Vやその他電源との混在基板で、なおかつ他の電源は別供給な構成です。
電源シーケンスの都合上、片方が死にかけの状態はあまり想定していない基板なので、色々波及して損傷を受ける可能性がります。
また、故障状態の電源によって一番厄介な電圧に落ち着いた場合、ロジック系の回路が一気に壊れかねない。
今仮に動いたとしても、屋外の結露が起きかねない環境で使用する基板です。
ですので、割れたセラミックコンデンサの電極間が湿気て緩い短絡を興して動作不良を発生させることは容易に想像できるので、早朝や深夜、悪天候条件下での呼び出しが約束されます。

という上記の話をしても誰も分かってくれそうもないので、とりあえず軽く
『髪の毛よりも狭い範囲で電極が向き合っている場所が電源として露出してるんですよ?湿気ただけで壊れますって…』
と、当たり障りのない言葉で説明し、
『私の手持ちで良いですから、部品はタダで供給しますし、1時間もあれば直りますから。』
と、甘い言葉で強引に自宅で部品交換するに至りました。

外したコンデンサがこちら。0.1μFのセラミックコンデンサです。
おそらく隣のEPROMを換えたときにでも壊してしまったのでしょう。
 せっかくなので、1μmぐらいまでなら余裕で見ることのできる光学顕微鏡で拡大してみてみましょう。
割れたところはこんな感じになっています。
 そして拡大図
中央が誘電体、その端に成形された薄膜の金属導体が見えると思います。
かなりの精度で粒が揃っているので、焼き物の微細加工ってすごいなぁ~というのがよく分かると思います。
そういえば、近くに村田製作所があったので、見学できればしてみたいなぁ~なんて思ってみる次第。

という訳で、タダではんだ吸い取り器やはんだごてなどの設備と技術の提供、さらには手持ちの部品提供という支出が出ました。
しかし、代わりに破損品が頂けたので、セラミックコンデンサの断面を顕微鏡で拝めたという副産物が得られました。
まぁ、折角なので、こういう他分野の努力の片鱗を見る機会はそうそうないと思いますので、コンデンサ屋さんもがんばってるんだなぁ~というのは共有しようと思った次第です。
決して、m9(^Д^)プギャー
したいと思った訳ではないですよ?念のため。

ではでは、今日はココまで。
またの機会に会える事を楽しみにしています。