2020年1月13日月曜日

劣化した電磁開閉器の整備点検について

おはようございました。

工場や電動機を用いる世間様では、電磁開閉器(通称:マグネット)を用いて電源を入り切りすることが一般的です。

何故電磁開閉器を使うか?電動機は通常入・切時に電流や電圧が大きく変動し、火花を散らすため、スイッチで直接入切すると大型のスイッチにならざるを得なくなり、小型のスイッチが使えなくなります。そこで、小さいスイッチで火花を吸収できる大きなスイッチを動かして、電動機を入切します。

しかしながら、電磁開閉器も入切するたびに火花を飛ばして金属部分が溶けますし、表面は周囲の雰囲気の影響を受け酸化します。そして、酸化が進むとスイッチを入れたつもりが入っていない場合が発生します。補助接点が動かない分には保護機能側に設計しておけば被害は少ないのですが、主接点が一部接触しない場合においては、最悪電動機が焼けて壊れます

さて、そんなこともあり、せっかく動作不良の電磁開閉器がいくつかサンプルで手に入ったため、冬休みを利用してメンテナンスの仕方を動画撮影しました。
折角ですので、このブログにもその一部を公開しようと思います。

超重要!これで如何程になるか?
例えば故障が発覚して発注した場合、標準品で流通在庫があっても、商社が糞な今の世では入手に2~3営業日もかかり、その間機械が止まります。たとえすぐに対応ができたとしても、予備品の有無ではその対応時間で大きな時間差が出ますし、1時間ごとに数百万の利益が止まる工程っていうのは世の中では普通にそこら中に転がってますから、すぐに対応できる能力ってのは非常に有益です。
おまけに損失と利益の差は、止まった時間+仕掛不良対応に加え、本来生産できた額面の差分も勘定せねばなりませんから、本質的に2倍近くの利益差になります。
(こういう価値観で私を雇ってくれたら、ストライクゾーンの広い何でも屋の私は、金さえ出しておけば自動的に予防線張りまくってくれるZDT製造機なので、相当割安だと分かるんだけどなぁ~)
つうか、一般商社の購入でそんなに時間がかかるんだったらモノタロウやamazonみたいな通販でも変わらんし、品幅も広いのでそっちの方が良心的…(おっと…話が脱線してしまった

先ずは道具をそろえます。私が接点磨きに使用したのはフラップホイル#600です。
削る道具の設定としては、汚れを落として酸化膜を削るだけですし、変形させるのは非常に拙いので、番手は細かいものを選びましょう。

先ずは接点のカバーをあけ…


接点の押えばねを外して接点を外します。

フラップホイルで主接点を磨いたのち、パーツクリーナーで洗浄と脱脂をします。

接点部分を組み直して接点の当たり具合を確認して問題が無い事を確認したのち、逆の手順で組み直して、次は補助接点を磨きます。
殻割をしました。


画像が荒くて分からないので、磨き前後の写真を用意しました。
ね?結構汚れていたでしょ?
動作回数の少ない奴だったはずなのですが、接点は結構荒れています。
逆の手順で組み直し、次は動作確認に移ります。
今回は私の手元にあるPCR500Mでテストしました。
直流も交流も出せるし、大変便利です。今回の製品はDC100V用品です。
珍しいと思われる方も多いですが、高圧受電で停電を防ぐための設備がある場合は大体DC100Vが一般的になります。

先ずは動作電圧。85V未満で動作が正常です。起動よりも保持は必要なエネルギーが低いので、保持電圧は低くなります。瞬時電圧低下でどこまで耐えられるか?の参考になります。余裕があればON/OFFの短時間テストを行い、停電時間の耐量を計測しておくの良いでしょう。
動作電圧は80Vです。
保持電圧は33Vでした。
動作確認後は、接点の抵抗を測ります。
最低でもmΩ単位が計測可能な低抵抗が測れる装置を用意しましょう。
ONした状態で抵抗値を計測して問題が無い事を確認します。

すべてが終わったら、保管のために、誰が何をしたか?動作電圧などを記録しましょう。
そして、汚損や雰囲気での腐食の低い場所に保管をしておきます。

 こんな感じで整備をして保管しておくと、突発的な故障時に対応しやすくなります。
素晴らしい事に、とっくに資産としての償却は済んでいるものですので、整備したものを保管しておく分には税金はかかりません
予備品を一通りそろえるまでは早期に交換して、動作確認済みで初期不良の可能性が無い中古品の予備を持つようにするというのも正しい節税方法の一手です。


ではでは、今日はココまで。

またの機会に会える事を楽しみにしています。