2023年2月28日火曜日

自動計測への目覚め ~バッテリーの放電特性を採取する~

 おはようございました。

電力計で一番面倒くさい仕事である効率が測れるようになったら、次に面倒くさいと思っている仕事を片付けるのが世の常、人の常であります。

そんな訳で次に困っていることといえば、

『電池の放電特性を測りながら、エネルギーも測定したい』

であります。


一般的な電池というのは、一般的には電流×時間の容量表記(Ah)が一般的です。

ですが実際にはいくらかの電圧低下をしながら放電をしますし、DC/DCコンバータなんかを用いて宜しく電力を取り出す側としては、電流量なんかより電力量で語れよ!と思う訳であります。

クーロン量じゃないと訳分かんねぇだろ!っていう真面な電気化学やってる方々への明確な敵意でございます。

そこで、電力計と実負荷に模擬した電子負荷を組み合わせれば所望の電池で一体どれだけ動かせて、どれだけ余力がありそうなのか?というのが一目瞭然で解る訳です。

これができれば、ネット記事にとっ散らかっている『電池の放電特性測ってみた』系の電流量は解ったよ、じゃあ電力的な側面評価はどうなのよ?という疑問とはオサラバです。


また、電池の早期劣化防止のために、意図的に使用領域=容量制限をかけている実働条件下の挙動なんかもうまく測って、新品に比べて一体どれだけ余力を持たせているのか?

設計目標と実際の値はどう違うのか?

経年劣化した充電池ならどうよ?

みたいな、細かい面倒くさかった試験が片手間で珈琲を飲みながら測定できるという、なんとも素晴らしい結果を得ることができます。


そんな訳で、試しに宜しく実装してみました。

例として劣化した鉛電池の放電特性を晒します。




この測定結果はサイクロンバッテリーとかいう一時期流行った電池でして、スペック的には10時間率で8Ahだそうです。

ですのでそれに近い放電条件下で測定したところ、こんな感じに容量低下として劣化してるよ?というのがわかるようになりました。

またついでに電力量を測定しているので、今の状態ならどれぐらいのエネルギーを取り出せられるのか?も解ります。

新品の10時間率(この負荷量)なら大体94Whぐらいだろうというのも予測できるわけです。

他にもコールコールプロットやインピーダンスの周波数特性とか色々測ったのですが、見ての通り、使用条件がそれぞれ違い過ぎたせいか、劣化と直接紐づけられるようなデータが取れませんでした…電池って奥が深いよねぇ~。

要するに、普段からデータ採っておいて、その設置条件下での正常値のデータを集めとかないと、異常値と分かるデータはとれませんよ?ということは明確に見えてきました。

ちなみに、電子負荷側についた計器での測定もできるのですが、積算はできないので、移動平均にして測定したところ、電力計に対して1%近い誤差が出てしまいました。

まぁ、せいぜい1%程度の誤差ですし、いつもの電気屋さんなら気にしない値です。

ですので、通信できる電子負荷は持っているが、電力計は持っていなくて、なおかつ

細かいことは気にしない方々、

             /)
           ///)
          /,.=゙''"/
   /     i f ,.r='"-‐'つ____   こまけぇこたぁいいんだよ!!
  /      /   _,.-‐'~/⌒  ⌒\
    /   ,i   ,二ニ⊃( ●). (●)\
   /    ノ    il゙フ::::::⌒(__人__)⌒::::: \
      ,イ「ト、  ,!,!|     |r┬-|     |
     / iトヾヽ_/ィ"\      `ー'´     /


っていう割り切りが得意な方は、電子負荷だけでもソコソコやれそうなんでお勧めです。(ただ、電圧側は結構誤差が出るので、放電電圧のずれが結構ひどいかも知れない)



そんな訳で、大体の電池の放電特性と電力量が測れるようになったので、最近会社の仕事で作っていた小道具類も測定して、設計上はそこそこワーストに近い現実的な値で設計していたので設計目標を十分に到達しているよね?という裏付け資料を作成し始めようと思います。

※本当はこういう測定が必須だから測定器買ってほしい!と2年前から進言していたのだが、結局自分で買う羽目になった…この会社はいつもこうだいつも個人お財布に集ってきやがる…(´・ω・`)ショボーン


ではでは、今日はココまで。
またの機会に会える事を楽しみにしています。

2023年2月4日土曜日

LiteVNA64・LiteVNA62の初期ロットにある充電ができない問題について

 オレと一緒でぶっ壊れたか?と思っちまったよ…

おはようございました。

見習い変ジニア@職場に干されている漢 です。

私みたいに手を動かしていないと死んでしまいそうになる人間にとって、仕事を与えないという現実のなんと辛くストレスになる事か…現職は変ジニアに対する嫌がらせというのをよく分っていらっしゃいます。


さて、皆様間に於かれましては、測定器類・電子機器類ついては時々通電する必要があることは良く熟知されているかと思います。

特に電解コンデンサ物は内部の構造上の都合から、時々通電しておかなければ簡単に故障する代物であります。

時々通電されますよう、お気を付けください。


現職では小電力無線がらみの評価もしているはずなのに、何故か会社ではTG付ののスペアナやネットワークアナライザを買わせてもらえない手前、困った私はLTDZ 35-4400M Spectrum AnalyzerやnanoVNAやLiteVNAみたいな小道具にあやかり、何とかそれっぽい状況証拠を固めることによって、仕事をこなしております。


さて、そんなLiteVNAですが、老眼を恐れた私は少し大きめのディスプレイサイズであるLiteVNA64と呼ばれる方をメインに使用しております。

先日まであまり頻度良く使っていなかったこともあって、久しぶりに電源を入れたのですが、何故かうまく充電されません。


リチウムイオン電池が死んだか?と思ったわけですが、同じように放置していたnanoVNAのほうは普通に充電できましたし、これは何かあるな?と調べました。


日本語サイトにおいては、LiteVNA62において『JH1LHV』氏(https://www.jh1lhv.tokyo/entry/2022/01/13/204710)が述べられているようにR1が過放電気味のリチウムイオン電池の充電を阻害している旨が出ていたのですが、私が持っているのはLiteVNA64…どうやら対象外です。

似た様なはずだと考え、回路図か何かのヒントはないか?と探したりもしたのですが、海外のサイトに見つかりました。

どうやら本器の設計者である『Hugen』氏がEEVBlog(https://www.eevblog.com/forum/rf-microwave/nanovna-custom-software/1800/)述べられているように、充電保護がかかるようです。

https://groups.io/g/liteVNA/topic/reduced_interference_from_usb/89382728


また、USBポートからの電源供給時においては、スイッチング周波数の関係で電源ノイズが乗りやすくなる傾向にあり、一度電池に流し込んでから変圧する方がよいとのことで、改造箇所を指示されていました。

弄る箇所は次の個所です。

・D1、R7(USB給電時にバイパス回路を形成する)→外す

・R1(バッテリー充電の限度値を決める抵抗)→外す

うっかり初期ロットに当たった方は、小改造をすることをお勧めします。


ではでは、今日はココまで。

またの機会に会える事を楽しみにしています。