2015年10月14日水曜日

開発の業務を正しく捉えましょう。設計とは大きく違います。

おはようございました。
前回の雑記では、2015年の現在に於いて2000年代後半〜現在に至るまで
『業務の核心に近い技術に関しては、派遣社員だけが携わる』
そして、
『本社採用はよく分からない仕事(理論や現実を無視したマネージメント)しかさせて貰えない』
という話を一方的にさせて頂きました。
結局の所、現実の世界で問題に挙がるのは、所謂擦り合わせの技術に関する実装であって、根本的な技術問題ではない事が大半を占めます。
もし、技術的な課題で悩んでいるのであれば、現在の状況が理想に近い事を認識すべきでしょう。
細かい戯れ事を省きますが、余程の人員の選択能力やリソースがない限り、技術的な課題が問題になる事は有りません。あなたは相当な能力の持ち主です。その状態を維持できるように日頃から精進して頂く事をお勧めします。


おぉっと、話が逸れましたが本題。
今日は研究開発における設計と研究の間を埋める開発の仕事って何なの?という話。

いきなりですが、開発の業務はマーケティングから始まります。
市場の状態を正しく認識して、そこに採算性を見いだしたのであれば、実際に設計の補助を行い、製品導入を促進します。その市場に採算性を見いだしていないのであれば、別の手段を用いて採算に関する可能性を探す部隊です。
簡単に言ってしまえば、

  • 設計=2〜3年の確実な採算性を求める部隊
  • 開発=5〜10年程度の確率の高い採算性を求める部隊
  • 研究=より長期的に宝の山を探す部隊
ですので、それぞれに求められる資質が大きく変わります。

この時設計は“全力で目先に拘れば良いのですが、開発をする立場の人間は少々視点が異なります。

設計部隊が目先にとらわれている状態ですから、設計に移管しやすい成果の生産と、中期的な生産と採算性の両立を図る必要があります。
ですので、目標とする導入時期は、
移管期間+文書・規格化時間+検証時間+開発期間+試作検証期間+予算獲得期間
ぐらいの時間を最低限見据えた上で、ロードマップを引きながら開発対象を絞り込む必要があります。
勿論何かしらの問題が発生して、その問題が解決可能な時期も勘案しなければなりません。
問題や障害の発生時は、目標から逆算で工程を組み立て直します。もし、現実性が得られない状態に陥った場合は、成果を下げるか、工期全体の見直しをしなくてはなりません。
ですので、開発は必ずと言っていいほど
『ちょっと背伸びをしたら届く範囲の仕事しかしてはいけない』
という現実にがあります。
もし、がんばって背伸びしなければ届かないのであれば、それは中長期的な開発課題です。ちょっと先に(2~3年程度で)市場へ導入すべき技術ではありません。
早く片付けた開発費の余りや、本業をやりながら片手間で暖めて置く内容だと考えます。
もし開発の成果物が5~6年先でも構わないのであれば、多少背伸びして進める方が得策かもしれません。
また、設計は目先の利益確保が優先されますから、
『今ある技術でできる事以上の事をしてはいけない』
という足枷があります。

即ち、
“差別化をして儲けを出すのは開発成果では有り得るかも知れませんが、設計技術ではありません”
この事は十分理解する必要があります。


これ、結構履き違えて設計に背伸びをさせたり、開発に夢を追っかけさせていたりしている会社が多いんじゃないでしょうか?
差別化・収益化できるのは、あくまでもマーケティングの仕事であって、市場調査によって生まれる商品企画の話です。

技術だけで飯を食おうなんていうのは個人事業主・派遣会社・設計会社など第三次産業の仕事であって、製品を作る側の生業ではありません。
開発が設計の仕事をすると不満だらけですし、成果が上がりすぎて周りから干され、退職に追い込まれます。
また、設計の人間が開発なんていうマーケティングを知らないとできない仕事は大凡できませんし、させても大した成果は得られません
設計以外をした事のない人はトレーサーと呼ばれる小変更程度の行為はできても、新規性のある構造の見直し・アルゴリズム変更・0からの回路設計などはできませんし、そのような実力はほとんどの場合において持ち合わせて居ません。
下手に設計者に開発をやらせたら夢物語・非現実性のある内容を語るため、収拾の付かないものになってプロジェクトが破綻・遅延を免れません。もし上手く進んだとしても、それは設計をさせていたとき以下の物しか仕上がってきません。

私はいろいろな会社を見てきましたが、ココを履き違えて駒弄りする経営層が多すぎるような気がします。個人の領分をしっかり見て人員配置をすべきだと思います。
適正な人員配置をやり出したら、開発ができる人間なんてほとんど居ない現実に気づいてしまうかもしれませんが…)

これらを履き違えずに製品を作り売り続けたのがこの前までのAppleです。
彼らはがんばっても設計部隊です。ひょっとすると設計すらやっていないかもしれません。
諜報部隊に三星電子を操り、市場に転がっている技術の集合体を用い、マーケティングによって製品を作っていました。
(尤も最近までの話ですが…)
技術だけで現物は売れません。現物が売れるというのはあくまでもマーケティング(≒顧客の真に期待する価値の創造)の成果です。


そんな訳で、開発にはマーケティングが必要不可欠ですが、設計には製品企画部隊屋マネージャークラスの人間がそれを代行して行う必要があります。
理由は簡単で、身の程を知らないにわか仕込みの設計者がやると、夢を語りだしてプロジェクトを破綻に追い込むからです。
私は直接研究職らしい仕事をした訳ではありませんが、おそらく研究職であれば、もっと先を見据えたマーケティングと高い知性・感性・技術が必要でしょう。
設計は一般的な能力で事足りますが、開発を行うには設計のマネージャークラスの能力者が必要です。
開発はそれなりの能力で事足りますが、研究職であればおそらく数千人に1人程度の能力者であっても厳しいかもしれません。
現在の日本の給与体系や雇用体系は横並びであり、横並びで減点主義制年功序列なのにも関わらず成果主義とか言う寝言をほざいている連中が多く見受けられます。
給与は仕方ないにしても、個人に対する処遇までほぼ横並びの有様です。
何千分の1の人間が横並びでいいのですか?マネージャークラスの能力者が一般平社員と同じ処遇で良いと思いますか?
設計・開発・研究・簡易事務と能力の要求される事務、これらの切り分けができていない会社が多いですが、意識をして個人への処遇を考えないと、優秀な人材の流出に繋がりかねませんよ?

ちなみに私が必要だと思う開発者の要件は、“担当する分野の技術士が受かる程度が最低限度の必要要件”です。
技術士はそれなりに高い知識と経験が必要ですが、あくまでも専門者としては入門レベルの話しか問われて居ません
この試験は受かったからプロプロフェッショナルエンジニアと言う訳ではなく、延々と努力をし続けない限りはそこから外れます
ですので、この資格試験はプロフェッショナルエンジニアと言われる方々への入門用の位置づけである事を忘れてはなりません。
もし、受ける余裕がある立場であっても受からないのであれば、それはあなたがトレーサー・設計者の領域を超えていないからです。背伸びをするには最低限度自分の周りの技術を知る事が必須ですし、この試験に合格できる程度の専門知識は必須です。
開発者入門と位置づけできる技術士2次試験すら受からないような人間は、トレーサー(設計者か開発見習い)だという事を自認すべきです。

ではでは、今日はココまで。
またの機会に会える事を楽しみにしています。

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