2015年10月21日水曜日

Keysightの次世代パワーエレクトロニクス設計・検証セミナーの所感

おはようございました。
10月16日は花金(死語)なので午後に半休を取って、Keysight様主催のセミナーに参加してきました。
砂糖屋の中にいる現場のオッサンなのに、何故電子回路屋擬きをやっているのか?という初歩的なツッコミは無しの方向でお願いします。
そう、だからこそ半休じゃないと行かせて貰えないのです。(内容が仕事に直結するんですけどね…)


前置きはさて置き本題です。
全体の感想としてはもっとDEEPな内容を聴きたかったという感じですが、これも機密保持に関する制限だと思われます。少し前とは大違いです。
一部の方々の犯罪行為のために、皆が面白いネタを貰えないという残念な制限事項です。すっかり煩くなってしまいました。
日本では技術の高さは見せびらかして祭りのネタか自慢する道具にするはずであったですが、一部のそのままパクリ屋連中のおかげで随分と残念な事になりました。
そのままパクるという美学の欠片も無い行為で儲けようだなんて、下品な連中の多い嫌な世の中になったもんですね。これも金銭欲に塗れた連中の悪影響の一つです。汚れた金銭欲は文化をも簡単に変えてしまいます
おっと…んな事を言えるのは日本だけですよね…。


では、前回のAMF2014に続いて勝手に思った事を羅列します。
今回感じたのは以下の内容です。

  1. シミュレーションを回して確認したらOKという勘違いさんが多すぎて泣けてくる。
  2. 未だに三相デバイスに関する測定ソリューションが確立されていない。
  3. バッテリーやコンデンサといった充放電素子に関する化学知識を応用しきれていない現状。

・シミュレーションを回して確認したらOKという勘違いさんが多すぎて泣けてくる。
これはKeysight側ではなく、受講者側の問題ですね。
挙動が明らかにKeysightのADS紹介・説明だけを目的に来ている方々がおられました。
何処の会社でも問題に挙がっていますが、シミュレーション回せた事を言い訳にして試作品を作って無駄に金をかけさせて遊びたがるというものです。
本人は楽しいですよ?考えなくて良い=楽だし、低い生産で残業しまくって大儲け、立派な言い訳だってできる…でも世間様は超絶に悲惨です。
極端な表現ですが会社の損失を生み出す連中の話です。
最近はシミュレータの利用方法を知らずに使う人が多く、まともな条件・要件・制約を入れていないにも関わらずに、過剰に盲信される方が多いです。
正しい使い方をせずに結果を利用して物を作ると毎度ながら穴だらけの試作品が出来上がります。
この手の問題を生み出す連中は、シミュレータの正しい使い方すら知らないので、問題が起きても当然のように問題が何なのかが分かりません。自らの能力では消せない問題をシミュレータのせいにするか、誤魔化して製品化してしまうか、運良く度重なる試行錯誤の結果で対処療法を見つけるという暴挙に出てしまうパターンですね。
無茶な条件でのシミュレーションの結果に関する保証はシミュレータの制作会社がとれる責任の範疇では無いですよ?
シミュレータに入れる現実の部品のパラメータの取り方、組み込み方、妥協の仕方、結果に関する制限事項の取り決めに関しては利用者の範疇です。

極端な話ですが、パワエレものはMHz帯まではシミュレータなんて高級な環境が無くても、手計算で十分な精度の数値が得られますし、数十MHzまでなら大凡の挙動は推測できます。
勿論、基本波がkHz帯域であれば、倍波は対処ができて当然です。
ノイズだって問題になるのはMHz帯からであって、基板とコンデンサ・チップインダクタンス、トランスの寄生容量などの部品間に起こる共振からがようやく問題になり始めます。
部品単体同士は何とでもできますが、基板のパターンレイアウトや故障条件(1個故障しても動くように設計)によっては、単純な手計算では限界があり、シミュレータの方が早いです。
ですので、MHz以下の帯域であっても、挙動が明らかなトポロジー・部品同士であれば、事前対処ができて当然です。
MHz帯までで問題になるなら、『技術を持っていないだけなので精進しなさいという一言で片付けられてしまいます。
別の分野、例えばIC開発では、今の時代であればロジックICなら90nmプロセスまでは何も問題無しで作れます。なのに何故か無駄にシミュレータを回して遊びたがる連中の多いこと…
シミュレータの存在意義を理解できずに仮想空間での試行錯誤だけでできあがってしまった技術者擬きが結構多いというのは、悲しい状況になってしまいましたね。
敢えて社名は出しませんが、この手の参加者は胸にぶら下げている参加証(名刺)を結構見てるので、会社の宣伝としても大きな損失に値します。尤も、シミュレータ屋さんからすれば儲かる鴨が来た』で片付くので、大変喜ばしい事なのではありますが…。



・未だに三相デバイスに関する測定ソリューションが確立されていない。
三相デバイスの測定に関する問題は結構昔からであって、未だに低域~商用周波数~高周波領域を含めた測定ソリューションを提供できていません
相互インダクタンスや相間の容量に関する統合的な伝達の評価機材と、sパラメータによるシミュレーションモデルへの落とし込みが、未だに円滑に行われるようになる見込みもありません
これらは需要が多く、結構な儲かるネタですが、誰も手を出さないのは非常に残念な状況です。

測定器と解析環境の使用用途は産業用インバータ開発、モーターの解析、電気自動車関連、寿命劣化診断などです。
特に電気自動車で使用する誘導電動機やSRモーター、ノイズ対策製品などは、この手の解析装置があれば随分と楽に設計開発が可能になります。
また、三相に使えるという事は、各産業用途の機器へ利用が可能になります。何ができるのか?と言えば、

  • 機器の絶縁部材に関する劣化診断・寿命判定
(モータ・絶縁油・H2やSF6などの絶縁判定、ケーブルの劣化、他様々に応用が可能)
  • 零相・逆相インピーダンスの正当な評価
  • 適切な保護に関する判断材料

が代表例です。現職でまともに正当な判断ができる仕事をしたら数億~数十億円浮いている(はず)です。大きめの中小企業でこれですから、市場規模はとんでもなく大きいです。
ただ、トランス屋や遮断器屋、絶縁油屋なんかを確実に敵に回します。そこの根回しもある程度行う必要があるかもしれません。
また、機器は常に温度変化をしますが、熱によるパラメータの変動はかなり厄介です。特に三相になった途端、測定環境が煩雑なので測定だけで破綻しかけます。
しかし、測定機器があれば後は恒温槽で何とかなります。
ある程度の当たりをつけるために、簡単に等価モデルの表現を作ってくれる装置があれば、とても効率よく開発が可能になります。熱による変動や過負荷耐量、ピーク負荷の設計検証などの事前検証が、容易に可能になるのです。
さっさと作って貰えないだろうか?と思っているのですが、誰も手を付けないんですよね〜。
自分で作って儲けたいとも思いましたが、開発リソースもなく、また企業相手に個人事業主では中々売れないというのも事実。
個人用で作ってしまって、技術を安価に売って市場を開放するっていうのものも一つの手ですが…。




・バッテリーやコンデンサといった充放電素子に関する化学知識を応用しきれていない現状。
電池やコンデンサは交流のインピーダンスが周波数軸に対してかなり非線形ですし、さらには劣化や熱の影響を受けて大きく変動をします。
もう少し細かい話をすると、化学的劣化の大きい素子すなわち液体を利用するコンデンサやバッテリーでは劣化状況で周波数特性が変わりますし、さらにそこから熱でさらに特性が変動します。
ですのでまともに評価するならば、周波数・熱・劣化状況・劣化のさせ方の4軸に対するインピーダンス特性の採取が最低限の必須要件になります。インピーダンスの5次元以上のマッピングですね。

模擬のバッテリーやコンデンサーを用意してもそれが再現できなければ意味がありません。
と言うのは、一番の最悪ケースはバッテリーと回路および制御の共振で異常電圧が発生して、機器を破損する可能性があるからです。
現状、この手の素子の評価と言うのは相当な回数でパラメーターを振って測るしか方法はありません。
しかし、実際にはできていません。この問題は結構重要な問題ですが、皆敢て口を出しません、
そんな事を口にしたら現実的な納期での評価方法が無い事に皆が気づくからです。
ですので、それっぽい事をして終了としています。ですから、市場に出た段階でもまだ実地評価での試験中です。そこそこ安全な状態にしてら出荷を行い、市場を利用して劣化に関する測定評価中ですから、当然のように幾らかの危険が見込まれ、それに相当する対応策を幾らか盛り込まなくてはなりません。そして、バッテリーの製造元や素材で特性や保護に対する方法論が大きく変わってきます
結果、電気自動車やハイブリッド自動車などの電力密度の高い製品群では、特に重要部品としてバッテリーの構造や基本性能を安易に変えられるものではないのですが、それを平気で変えている会社があります。
皆さんもうお分かりですね?そういう会社の電気自動車は結構危険です。
誰が電気自動車は素人でも参入できるなんて言ったんでしょうね?
それは近所をうろつく程度の大して電力密度の高く無い装置の話であって、ガソリン車に対抗したがっている様な自動車を作るのはとんでもない技術の積み重ねが必須要件です。
今までのような車の感覚で気楽に乗るような車を作れるのはほんの一握りです。
尤も、安全性を犠牲にするか、もしくは充電頻度を増やすかのどちらかを選べばそんなに難しい代物でもありませんけどね…。


と、散々言いたいことを好き勝手に言ってきましたが、問題発言が多々ありそうなので敢て言わせて貰います
ここはあくまでも私の脳内での妄想です。
全てフィクションであり、ここに書いている内容は現実とは関係が無いかもしれません大事な事なので、2回言っておきました
こんな妄想をさせて頂ける機会を頂いたKeysight様には心よりお礼を申し上げます。
ではでは、今日はココまで。
またの機会に会える事を楽しみにしています。

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