2016年7月30日土曜日

IoT World Conference 2016に参加した報告

おはようございました。
IoT World Conference 2016に参加してきましたので、簡単にご報告します。

配られた添付資料以外はあくまでも宣伝です。内容は積極的に売るためのIoTの話でした。
ガートナー社のハイプ・サイクルに従い、数年後にメジャー化すると思われるIoTに関して、様々な話題提供です。

MEMSの時もそうですが、この手のものは後5年後にはあふれかえっていそうです。

個別の話題:

①cisco

最初の講演はFANUCのFIELD SystemというIoTプラットフォームと、ciscoとの協業の話
ZDT(Zero Down Time:工場の突発的な停止時間の削減、これを削減できると仕掛品の損失が大きく削減できるので、かなり強力な武器になりえる。)や、ビックデータをうまく解析することによって、学習効果を飛躍的に挙げ、生産性の向上を図る内容でした。
現場の問題をIoT技術とビッグデータの処理技術を用い、故障予測・故障解析、過去の事例などからデータを集めて傾向を解析し、危険水準になる少し手前で計画作業を導入して問題を回避します。
閾値学習や工程の順序改善も、Fogレイヤーに蓄積したデータをDeepLearningによって、容易に実現することが可能になります。
これらのZDTや学習機能をして、工程やメンテナンスをを改善することが可能になった自動車工場の例を紹介してくださいました。
資料はここにあります


②NTTPCコミュニケーションズ

最近流行りだした格安simに関して、NTTPCコミュニケーションズでは、データ量にあわせて契約を自動に更新する例も紹介。
クラウド=怖いという顧客のために、インターネットを介さない通信業者だからこそ実現可能なクラウドを実現しているとのこと。

③ブレインズテクノロジー

Apache Sparkを利用したデータ処理事例の紹介。
太陽光発電のモニタリング、工場の故障予測、異常検出などが主です。
若い企業にもかかわらず賞を受賞できるほどの実力があることに注目です。
導入しやすいところに特化したため、企業を大きくできたとのこと。
この手の企業は手軽で動きが早いので、目的が分かっている人の実践向けでしょう。

④テラデータ

ビッグデータ、IoTなどの導入に関する問題・注意事項に関する話題提供
主に話されていた事は

  • 人よりも工場のような目的がはっきりしたものの方が進めやすい。
  • 動向観察の場合、判断できる職人の力が必須。
  • ソフトウェアへのコストが7割を超える。
  • ただデータを集めても意味が無い、投資の無駄。
  • データの解析方法こそが肝である。
  • 全てDeep Learningを用いなくても良い。多変量解析で十分な場合もある。
  • データのクレンジングができなければごみのデータに等しい。
  • フリーウェアがたくさん転がっているが、実使用までの実装にはものすごいコストが掛かる、ただではない。
  • データのとり方、使い方、目的を明確にしなくてはならない。
  • IoTをやりたいという考えでは失敗する。何のためにIoTを用いるのか?を明確化しなくてはならない。

です。“あぁ、耳が痛い”という方が多いのではないでしょうか?
要点として、ビッグデータのデータの取得と、解析は当たり前で、そのデータを採取するためのIoTという考えで進めなければなりません。
よくある『IoTが、儲かる!!』『IoTを導入すれば何とかなる!!』なんて考えだけで事業に手を出すような素人考えでは、話にはならないという半ば苦言に満ちた内容を話されていました。


⑤Capgemini

マーケティングの掘り起こし、データの解析などにに特化した話です。
一部のエンジニア・顧客などにに向けたアンケート調査をベースにして、かなり深い業界動向の状態認識と、今後の予測を立てていました。
コンサルティング会社だからこその方法ですね。
詳しい話はHPにたくさん事例が公開されているので見て欲しいとのこと。
その上で、実態の企業においてIoTをどのように活用してゆくべきか?というビジネス・経営者向けの話の展開なのですが、時間が少々足りずに、詰め込みすぎた感がありました。
多くの方には消化不良のようです。
私もチョコチョコ講演しているので、この問題には気をつけます。

⑥ニフティ

工場の例だけでなく、幼稚園の利用例も紹介
誰と誰が仲がよく、先生との接触はどのように回数なっているか?
よく利用される遊具はどれか?
など、結構面白いデータが取れたので紹介。
また、徘徊老人に対する検出機器をビーコンを用いて実装した例を紹介。スマートフォンで簡単に見つけられるので、実装が容易です。

トイレ+ガスセンサーでがん検出など、さまざまな例に使える事例を紹介。
ビッグデータの解析方法だけでなく、IoTを実装する方法も実際に紹介。
ラズベリーパイにも実装が容易なプラットフォームを提供することにより、より裾野を広げてくれています。

⑦コニカミノルタ
自社の工場に実装した実例の紹介。
マザー工場に近い場所を選定し、ビッグデータと解析を利用することにより、工場の生産性の向上が図れたとのこと。
競合が生まれやすい話題であり、具体的な話はかなり包まれた状態で話されました。
どちらかというと、導入するための経緯が主体です。

⑦所感

ZDTは個人的に、今更かよ…と思うと所もありますが、世間様はこんなもんです。
実は前の会社でもこれに近いことをやって、かなりの損失削減(恐らく一生分の給与以上)をできました。
工場の突発問題とは結構致命的でして、私が以前所属していた会社で1回の停止で500~1000万円程度の損失が発生していた様な気がします。
実装するまでの解析と、要点を洗い出すまでの事前解析がかなり時間と手間が掛かりますが、一度実現すれば、ZDTの要点をかなり的確に捉えることが可能です。
ですので、IoTを小遣いで実装するまでもなく、巡回点検で片付けることができました。
本当は24時間監視したいので、IoTを実装すべきだったのですが、私財投じてまで…とは思いませんでした。
当時の会社は…非協力的でしたね。損失削減は利益ではないと判断していましたし、時代の先に行き過ぎているわけですから、何をやっているのか?すらわからないのでしょう。
工場にオシロ持ち込んだり、高度な計測器をガンガン持ち込んでいたわけです。
(予算獲得のための実証目的だったので、あくまでも私物でしたが…)
よう分からんものには予算はつけないってのが常套であります。
結局予算は付きませんでした。
事務方は非難轟々でしたが、現場の人は大喜びです。
これ(=時代の先の技術開発と、現場の利益の両立)をするのが技術士なんですよ?

私が前に進みすぎていたので、経営側様は良く分からないことに投資などしたく無いと私を窓際へ追いやったのでしょう。
世間様が私に追いついてきたので、次のネタへと私は移行します。
資金と人員で圧倒的な差があり、勝負にならない世界になりつつありますからね。
ではでは、今日はココまで。
またの機会に会える事を楽しみにしています。

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