2017年8月6日日曜日

悪い評価の理由を考える 中編(前職@SONY系下請け会社)

おはようございました。

さて前の続き、評価が低かったといわれる会社 SONY EMCS の話。
私自身、当時はソフトもおおよそできるようになった(ローエンドな所だけですが…)こともあり、もっとマシな『世間の役に立つ』仕事に就きたいと思うようになりました。
そんな訳で、コテの原理=いわゆるレバレッジの機能が一番高い生産技術の改善による生産性の向上に大変興味を惹かれておりまして、当時生産技術を探していたSONY EMCSに応募したわけです。

そしたらなぜか電気回路設計ができるという事で、電源開発部隊(と言っても[kW]未満の小さい物ばかりでしたが)に突っ込まれることになりました。
さて、入ってみてすぐに気づいたのですが、
『やばい・設計レベルが素人だ!』
回路を見て赤ペンを引いていたら、至る所に問題個所があるわけです。
なんでなんかねぇ~と思いながら調べてみたら、誰かが書いてたまたま動いたものを改変とか、自分で設計せずにICメーカーに設計させてできあがったものを改変しているとか、最低基準の書物(品質保証)を設計目標にしてしまっているという、所謂SONYタイマー
どうやら設計寿命はこの統計学からできあがったものなようで、
『民生スペックを産業スペックに持ち込むな!』
という反感が沸き起こり、当時の設計者たちと激しい対立になりました。

さて、某社の互換電源を作れという指示の下、大型のスタジオカメラ、レンズアダプタの電源を作ることになりました。
要求される内容は、DC18V~AC280Vまで動き、長距離伝送でも動く200[W]ぐらいのマルチ電源。
で、電源の方式で揉めまして、上司側・会社側は
『今までSONY EMCS内でやった事のある回路以外認めない:フライバック・電流共振・PFCのいずれか』
私は、PFC+電流共振では絶対に問題が出ることが分かっていたので、
『小型フライバック+フルブリッジ』
ずっと揉めていました。
一番ノイズの対処がしやすい電流共振とはいえ、動作範囲の狭い電流共振で広範囲をカバーできる訳はありません。
(そう言いながら、瞬時電圧低下対応でかなり広い動作範囲設計にしましたが…)
仕方なしに小型フライバック+PFC+電流共振という、かなり厄介な選択肢を強要される羽目に…。
(それでもフライバックを2つというバカな物よりはよっぽどマシだと思いますが…)
で、会社に逆らうのか?と延々と怒鳴られていたわけです。
しかも、もう少し小型のもの80[W]ぐらいはより電源ノイズを下げなければいけない状況下でフライバックを選ぶ始末
もうね、あほかと、馬鹿かと
しかもね、こっちは1次試作終わって、絶対トラブル起きるからやめてくれって散々言ってこれですよ。

結果的にトラブルに至って、今でもレンズアダプタで問題が起き続けているようです。
いやね、3重同軸の伝送でフライバックのノイズが乗ったり、軽負荷時のPFCの間欠運転が特性の全く異なるフィルタ回路を通してインカムのノイズやその他の電源ノイズになるという状態。
電流共振って延々と充放電繰り返しながら動く電源で、大きな伝導ノイズを出しますし、PFCは最低限度一定量の電気を食わなきゃ間欠運転になる代物。伝送系に問題起きることはとっくの昔に分かっていたことなのです。

そして、この方式に変更されたとき、試作サンプルを何台か作り、大本のCCU電源設計者に渡して接続を事前評価しなければならない事を伝えていたのですが、全く評価せずに放置。
結果後程トラブル続きになりました。
勿論CCU側も互換品を作っていたわけですが、これがまた特定の負荷の繰り返しで壊れる仕様、そしてPFCの特定条件での破壊に至る動作を引き起こす可能性が高いことが発覚。
もちろん、特定条件下ってのが、送電限界近傍にある。激しいON/OFFの繰り返しなので、前の正規品にもある程度ダメージがくる。
マイコン入れれば余裕で対処できたのですが、うち(EMCS)でやったことが無いものをするな!!というお決まりのパターンで否決されます。
まぁ、この問題は結構強引に誤魔化す回路を入れて対処しました(CCU側は壊れやすいまんまですが…)が、ノイズ問題は根本の方式のあるため、対処のしようがありませんでした。

そんな訳で、他の問題も全部ひっくるめて、これらの問題を私の責任におっかぶせられました。
理由は簡単で、私が最初に設計を終らせて暇そうだった事(結果、残業を極力しなくなった)と、反抗的だったこと(破綻するの分かっているんだから当然でしょ?)から。
これ、大元の原因は電源の方式を間違って選んだ・強制した事にあるのですが、そんなの無視です。誰かを虐めの対象にするのが日本の習わしかもしれません。

あれ、責任者は責任を執るためにいるんじゃなかったでしたっけ?
挙句の果てに『お前みたいな奴はとっとと辞めろ』と言ってきたので、素直に辞めてあげた訳です。

因みにSONYの人は大喜びでした。
工数減るわ、試作回数が減るわ、電源インピーダンスにPSRR・伝達係数みたいな詳細データが勝手についてくる。これは今までになかったことだ!
なぜかEMCSの中の人は そんなもの測っても意味は無いとか、無駄な事をするなとか、けちょんけちょんに言ってきていましたが…。

そうして、SONY本社に気に入られれば入れられるほど、EMCSの方々から物凄い攻撃を受ける羽目になります。

これ、私の責任なんですかねぇ?

そんな不遇を心配して、当時の設計部門長(SONY本社の出向)が2人で飲みに行こう!と誘ってくださっていました。
ですが、毎度の如く役員クラスと関わると碌な事が無い事を知っていることや、本社の成果を上げる度に評価が低くなる実態に我慢がならない私は断った訳です。(転職先も決まってましたし…。)

後盤へ続く…

ではでは、今日はココまで。
またの機会に会える事を楽しみにしています。

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