過去の製品群の中で一番設計がマシと思える産業用インバータのひとつに、東芝製のVF-A7という機種があります。
この機種の壊れ方としては、
- モータが過電流でトリップし始める
- nOFF(主回路電圧低下)が出て動かなくなる
- FANが動かず(動かすトランジスタが故障して)にオーバーヒートで止まる
という症状が多いです。
今回はこいつの対処の仕方を晒そうと思います。
私が手を入れる=当然のように10年以上前の代物です。
しかし、持ちのよい優秀な装置であります。
基本的なパッケージとして、
- CPU周辺の基板(設計が頑丈で長寿命)
- IGBTのドライブ基板(3.7kW以下はIGBT・大型の電解コンデンサと一緒)
- IGBT本体(3.7kWを超えるもののみ)
- 内部の直流電圧生成・維持用の電解コンデンサ(3.7kWを超えるもののみ)
- 冷却ファン
- ヒートシンク
- ノイズフィルタ基板
というパーツに大まかに分ける事が可能です。
このうち、
- FAN
- 大型の電解コンデンサ
- ドライブ基板
が急速な劣化対象であり、こいつに手を加えると+5年ほどの延命措置ができるというものです。
※ ひょっとしたらもう少し伸びるかもしれませんが、壊れ方が危なくなるので危険
しかし、この機種も容量によっては中のIGBTドライブ回路が残念な事になっていたりします。
外れを引いたら、その設計者に『この○ソ野郎!!』と言いつつ、ゴミリサイクル箱へ直行させてあげましょう。
では早速、交換場所を見てみましょう。
CPU基板と交換箇所
ドライブ基板 他
ドライブ基板交換箇所
ドライブ基板は容量によってサイズは違えど、大凡似たような構成になっており、やられる場所は電解コンデンサとHCPL-7840Aの2種類です。
FANが止まって動かない場合はCPU基板のトランジスタ
表記がCEYなら2SC3325Y(Q22)、表記がQEならRN1425(Q22)を交換
しましょう、
可能であればIGBTを外してシリコングリスを塗りなおす事をお勧めします。乾いてしまうと熱伝導性が著しく低下します。熱伝導性が著しく低下すると、寿命がきて無いはずなのに、アルミスライドあたりでIGBTが激しくすっ飛んで綺麗な花火が上がり、大変困った事になります。
最近の東芝製インバータは結構設計が雑な上に、壊れても修理がしにくいようにモールドされています。
確かに極悪な化学的条件下・露点の高い条件下ではモールドされていたほうがいいのです。
しかし、こういう物は部屋においてクーラーガンガン利かすか、換気して涼しい条件下で動かすのが当然な代物です。
ですから、分かっている人間にとっては基板のモールドはオプション扱いにして欲しかったなぁ~と思う次第です。
おまけに変な安物ネジ使い出したり、回路設計が残念で壊れやすくなっていたり、加工が荒くてバリがひどかったりと、変なコスト削減で残念な結果になってしまわれているので、最近の東芝製インバータは強くお勧めしません。
しかし、この代の東芝製インバータ(特に18.5~22kW)は他社にはない設計思想があり、とても光るものがあると思うのです。
ということで、最近調子が悪いVF-A7を見かけたら手を入れてみませんか?きっと手を入れた分誠実に応えてくれる良いインバータであると実感できますよ。
ではでは、今日はココまで。
またの機会に会える事を楽しみにしています。
2016/01/26 追記:
インバータの型番とFANという単語で検索される方もいるので、コネクタの型番を晒します。
コネクタは、AMPの179228-3です。
コンタクトは、179227-1を2つ準備しましょう。
FANは同じスペック(風量と圧)のものを用意しましょう。電流値は搭載品以下にします。
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