2014年1月29日水曜日

眉唾世界に対する苦言

いいネタを思いついていたのに、書くちょっと前になって忘れる…そんな悔しい思いをしたことは有りませんか?

それは今日の私です。(涙

さて、何を書こうとしていたんでしたっけ?
そう思いながら、メモを取っていなかったことに反省をして、今日の話題を搾り出そうと思います。

そもそも、電気主任技術者&技術士なのに、仕事が肉体的に忙し過ぎて、忘れるんだよなぁ~見苦しい言い訳

さて、そんな忘れたと言うことは、きっと大した事が無いと諦めつつ、今日のお題を絞り込もうと思います。


最近、
ttp://www.sun-auto.co.jp/products/tuning-performance/eco/hot-inazma/
ttp://www.oscar-i.co.jp/pdf/be-727.pdf
ttp://www.ba-labo.com/balabo/n_page/j-cable-3.html
こういう眉唾物が多いので、注意して欲しいなぁ~と思う事が多くなりました。
効かない事も無いですが、
後者2者は下手すると余計酷くなるし、
前者はバッテリーの寿命を早めかねない(サルフェージョンが促進されやすい)
と言う代物です。

原理原則に基づいたしっかりとしたものを導入すべきなのですが、事オーディオになると、熱狂的な信者と言うか、キ○ガイじみた人々が現れるので、とても厄介です。

人間の個人的感性で推し量り、自分だけで楽しむ分には全く問題ありません
しかしながら、他人に押し付けようとした時点でそれは悪になります。
どこかの宗教みたいですよねぇ~
ですので、ココから先は私の戯言なので、過剰反応しないようにしてください。
気に入らなかったら無視すべき内容です。
ブログの頭のところにも書いてますよね~。大事なことなので、2回言いました。


少なくとも現在の測定技術(耳)において、人間は測定器ほどの能力を持ち合わせては居ません。
ただし例外として、放送機器の評価屋部隊だけは別です。
ただ、彼らは日々努力の鬼ですし、恵まれた素養あってさらに鬼になった人間です。
真似のしようも無い素人である以上は、素直に測定結果からおおよその当たりを見つけることを目指すべきでしょう。


かく言う私も鼻(臭覚系)と手(薬物に対する感受性)以外の感覚は、おおよその凡人レベル以下です。
そんな訳で、自前でしっかりと測定環境を整え、それなりの準備をしています。
が、オーディオよりも、それを作った方々の感性に興味があると言うのが本音。
結局は測定してその設計者たちの個性を満喫して終わり
という、あまり実益的ではないところに落ち着きます。


実際、自分の可聴帯や、感受性を測定してみたら、あぁ、並以下じゃないか…って簡単に分かってしまいます。
結果、
録音されている音を忠実に再現する
以外の事に興味が持てないだけかもしれません。
わざわざ
物凄いエネルギーロスを出して、高音削るような真空管アンプは微妙
(これで原発反対とか言い出したら超最悪)
だと思うし、今時のスイッチング素子は優秀で、
既にMHz帯でスイッチできるのですから、それを使えばノイズが簡単に可聴域から遥か彼方ですし、強力なフィードバックでほぼ思い通り周波数特性のアンプが作れる
のです。

入力に対してスピーカー出口の周波数特性をフラットにして、ノイズフロアを極端に下げたら終わり
の世界です。
このぐらいの低周波域になれば、今時の素子なら過剰なほどに応答できる世界
です。

つまり、
“オーディオ専用の部屋を用意しなければ話にならない”、それができないなら、“壁の裏に特殊な内張りを入れて、吸音しなくてはならない”以外は、
“回路上・演算上で十分補完できる世界”
なのであります。
それすら嫌なのであれば、
ノイズフロアを低下させるノイズキャンセラを作りこめば、ノイズを相当なレベルまで落とす事ができる
世界です。

度々のつまり、
プロの設計・評価者以外は、自分が納得できたら、それでいいじゃないか
と言う世界

それだけの世界をわざわざ自慢するのは、とても底が浅く見えてしまうのです。
さて、こんなことを書くと、一部の信者たちに殺されそうな気がするので本題。


電気の世界のノイズの発生源は2種類です。
1つめは電圧由来のもの←先ほど話した商品説明に書かれている奴
2つめは電流由来のもの
初歩的なミスで陥りやすいのが、
電圧由来のノイズに着目し過ぎて、電流由来を増幅させる結果になることです。
コンデンサは電流がかなり流れる素子ですから、下手にコンデンサを使いまくると、この結果になります。
電流変化は非常に厄介です。磁界に変換され、他の回路を十分な危険に曝す事ができます。それに強磁性体である鉄板でも、なかなか防げません
変わって電界は非常に楽です。アルミ箔1枚で簡単に遮断できます。


製品の例を見せた後者の2つはまさしくそれです。
USBメモリ=CDと違って完全なデジタルデータ
ですから、ココのノイズを取ったところで、何にもならないわけです。

それどころか、
オーディオ機器内の電圧変換機器から出ている微小な電圧変動をわざわざ外に引っ張り出して結構な電流を出し入れして電流変動させて、電圧を幾らかは安定化させる装置ですから、電流由来のノイズは格段に増えます。
さて、何を以ってして良くなったのか?よく分からない状態になりましたね。
実に怪しい事が見えてくるのではないでしょうか?


また、電源設計者であった人間の観点から言わせて貰えば、
カーバッテリーから装置内の変換器で電圧を下げた先、つまり5Vラインへのコンデンサ増加は、意図しない挙動(不安定化)を引き起す可能性が0だとは言えなくなります。

じゃあ、文句言っているお前は一体何が良いと言うんだ?

と言う話になります。
そこで、それなりのノイズ対策屋さん的な知識と経験を元にお話します。
内部に電圧変換回路を持つものは、出口のコンデンサ追加よりも、入り口のコンデンサ追加のほうが圧倒的に効果的です。
なぜか?電流が流れる経路が軽視されやすく、評価されていない事が多いからです。
しかも、ココが弱いと言うことは、外来ノイズで信号が変形します。(有限のPSRR)
ココを直す事によって改善すると、世界が変わったかのような効果が得られます(大げさ)

内部の電圧変換器は多くの場合スイッチングで電圧を変換しますが、スイッチである以上、入り口の電流は結構な勢いで暴れるため、しっかりと検証して、問題ない程度に収める必要があります。
収めていない場合は、相手・自分自身をノイズで困らせる事になります。
この問題はICメーカーも結構声を大にして言ってくれています
が!不思議な事に、今だかつて、電源の入り口側の設計をしっかりとしている基板を見たことが有りません
(私が某放送機器メーカーに勤めていたときにやったら、超馬鹿にされた記憶が…)
ですので、当たり前だと思っていたことは実は当たり前ではないようです。
悲しいですよねぇ~普通、専門設計者・オーディオ屋さんはこういう要点ぐらいはしっかりと設計して欲しいところなのですが…。
何で新品早々中を開けないといけないのか?こっちの身にもなって欲しい所です。

さて、入り口側から出るノイズを抑える場合、正しいノイズ削減方法として挙げるのであれば、
① オーディオ機器の電源側に関しての交流的な切断
② ①の交流的な切断を補うための十分な電源インピーダンスの低減
耐久性を持たせるためのリップル電流の測定と、それに対する十分な寿命設計

①は電源側に戻っていっている電流の阻止です。ノイズは可能な限り発生源近傍だけで収めるようにしたいですし、外からのノイズが一番怖いです。
事実、PSRR(電源ノイズ除去比)を上げることは、後からでは非常に困難です。
電源のノイズが機器の電源ラインに乗らないことを目的として、交流的な絶縁を施します。
どうすればいいか?
フェライトのクランプなり、コモンモードフィルタなりを使うのが良いでしょう。
相手はオーディオなので、できるだけ低域から効く方がお薦めです。
この効かせた分で、②のコンデンサ容量を決めます。

② ①で電源側はノイズが除去されますが、装置側は使いたいときに電気が取り出せないことから電源電圧が暴れやすくなり、逆に不安定になります。
そこで、①で交流の絶縁をした分、電源インピーダンスをフラットにする、電圧を安定化させることを目的として、コンデンサの塊をたくさん並べます。
小さいところは 0.1μFぐらいから初めて、最終的に4000μF程度の大きさのものを並べるようにしたいところです。
大きいコンデンサの10分の1以上の容量を次のコンデンサとして、大きいコンデンサの2倍以上,
可能であれば5倍程度の個数を並べます。
気づいた人も多いと思いますが、小さいコンデンサが結構大変な数になります。
本当は、その数だけ入れて、電源を綺麗に仕立て上げるのが設計の王道です。
装置をばらしたことのある人は判ると思いますが、メーカーの多くは原価低減と言う名の手抜きをしています。
正しくはココでしっかりと電圧と電流を見ながら容量・コンデンサの種類、サイズの最適値を絞り込むのですが、たぶん素人では困難だと思います。
電源インピーダンスの目安は、利用する周波数帯の10倍程度までの全体(おおよそ1MHz弱まで)において、可能な限り0.1Ωを超えないように設計しましょう。
これは正しい設計ではありませんが、カーオーディオであれば、おおよその目安にはなると思います。

③はとりあえず素人さんには困難ですし、105℃以上の対応品、かつ、超長寿命品を探せばおおよそクリアできます。可能な限りセラミック、フィルム、大きいものは、できるだけ長い寿命の製品を狙いましょう。


もし内部(変換後の電圧)にコンデンサを入れたいのであれば、素直にオーディオ機器をばらすことをお薦めします。出口側は近傍でなければ殆ど効果はありませんし、ある程度安定して出力されるように、制御定数の検証をする必要があるからです。
その勇気と覚悟が無いのであれば、電圧変換の出口側は諦めるべきだと私は断言します。
安定化と低いノイズ性能の両立は、かなり厄介です。


結構言いたい放題好きなことを言っていますが、度々のつまり、
こういう物を大金を払ったから効果ぐらいあるだろうと体感だけで良否判断すると、簡単に詐欺に引っかかるお馬鹿さんみたいでみっともないですよ?
と言いたいだけです。
自分の体に効くものではない限り、プラセボ効果は除外して正しく判断しましょう。


ではでは、今日はココまで。
またの機会に会える事を楽しみにしています。

2014/06/03追記
最近この記事だけ見てくれている方も多いので、このコンデンサ物にかかわる話の見出しを貼り付けておきます。
電子回路のコンデンサに関する設計方法
電子回路のコンデンサに関する設計方法 ~カーオーディオ編~
カーオーディオのコンデンサチューンといわれるものは効果的なのかどうか確認してみた(PSRRのみ)
↑このリンク先も参考にしてみてください。

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